1995 Fiscal Year Annual Research Report
日本人学生とアジア留学生における社会的不安への対処能力に関する文化的研究
Project/Area Number |
06610179
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Research Institution | KYORIN UNIVERSITY |
Principal Investigator |
野原 忠博 杏林大学, 保健学部, 教授 (40010053)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朝野 聡 杏林大学, 保健学部, 講師 (90159377)
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Keywords | アジア留学生 / 対処行動 / 社会的支援ネットワーク / Genaral Health Questionnaire |
Research Abstract |
在日アジア留学生が直面している生活上の諸問題を「社会的不安」という側面から分析し、その対処能力がいかに異なるのかを包括的視点から分析することを目的として、在日アジア留学生500名を対象として、自記式の質問紙を用いて郵送法にて調査を行った。加えて日本人学生に対しても類似の調査項目について調査を実施し、比較検討した。 対象の留学生の年齢は平均で28.0±4.5歳で、日本人学生の就学年齢より高く、私費留学の者がほとんどであった(87.4%)。留学生全体のG.H.Q.の平均値は4.3±3.0であり、男(4.0±2.9)よりも女(5.3±3.3)の方が高くこの差は統計学的に有意であったが、日本人学生との間には著しい差はみられなかった(留学生4.3±3.0;日本人学生4.1±2.8)。社会的支援ネットワーク尺度得点の留学生全体の平均値は9.0±3.4であり、男女別では男が若干低い傾向が見られた(男8.6±3.5、女10.3±2.9)。日本人学生の平均値は10.9±2.2であり、留学生のそれより有意に高い値を示した。留学前および現在の不安では、留学生には第一に「お金」の問題をあげており、「勉強や授業」についてはその割合は低かったが、日本人学生は、逆の傾向があった。一方、将来の不安においては、「進路や就職」「結婚」「お金」「漠然とした不安」が留学生、日本人学生ともほぼ同順であげられており、学生が共有する特有の不安であることがうかがえた。このような不安や生活上の問題への対処の仕方についてみると、人間関係・病気や健康管理・経済的なこと・住居に関する項目のいずれにおいても、留学生のほうが独力で解決しようという対処行動をとる傾向があり、日本人学生は、周りの力を借りながら解決していこうという対処行動をとる傾向が強いことが示された。
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