1994 Fiscal Year Annual Research Report
高度技術社会にみる鹿児島の産業技術力とその基盤に関する調査研究-新社会資本の発見
Project/Area Number |
06610203
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Research Institution | The International University of Kagoshima |
Principal Investigator |
綱川 菊美 鹿児島経済大学, 社会学部, 教授 (90207423)
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Keywords | 高度技術社会 / 産業技術力 / 社会基盤 / 新社会資本 / 鹿児島 / 地域開発 / 共存のコスモロジー / 「知」の組換え |
Research Abstract |
現在、地域の開発振興に関しては、様々な学問領域におけるダイナミックなパラダイムシフトが関与して、鎖綜した議論が展開されている。いわば収れん先の見えない不透明なうごめきの中、新開地が模索されているといってよい。本研究もその渦に与する一つであり、既存のパラダイムを無条件に受け入れるのではなく、社会のより大きなコンテクストの中にそれらを再度投げ入れて、新社会資本、新社会資本観の視点から、一種の「知の組換え」を最終的には目指すものである。 そこで、平成論年度は、日本の辺地鹿児島における高度技術社会に向けた固有の対応を、インターナル・エクスターナルアプローチに準じて読み解くことを介し、新たなる社会資本、新たなる社会資本観の抽出、体系化を図るべく、その前段として、以下のような2つの調査を行った。 1つは、「鹿児島における産業技術力とその基盤に関する調査」であり、もう1つは、「鹿児島における商業の実情と将来展望に関する調査」である。前者においては、当該県内中規模以上の製造業(社)を対象に、各企業それぞれの、また鹿児島県全製造業の総体的な技術力、即ち実情(到達水準)と開発力の評価を願い、後発地故の固有の対応構図を読み解く手掛かりを得るべく努めた。また、後者においては、県内商工分野のオピニオンリーダーを対象に、商店街や地域社会の実情評価を願うと同時に、それらの新しい自己生成原理を、ハシリ動向への対応や情報感受度を介して浮き彫りにすべく努めた。 以上からは、全国レベルでの東京一極集中、九州圏レベルでの福岡一極集中、鹿児島県における突出した鹿児島市一極集中といった鳥敢景を受けて、辺地であればある程、業種間・企業間の競合、優勝劣敗の構図には、固有の社会観が大きく与しているという知見を得た。辺地に根深くピルトインされている象徴的な種々の要件が、時に、社会の大変革の中ほのみえる次代の兆候とリンクされて論じられることを踏まえ、次年度は、辺地の分化的基底を成すものが、早晩社会にその位相を現し市民権の認知を迫るものと、どのような編成原理の下、どのように変容展開していくのか、そこに関わる新社会資本、新社会資本観を種々のアプローチを介して抽出すべく努める。また、それらによって構築が叶う新しい概念の装置化をも目指す。
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Research Products
(2 results)