1995 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者家族の新しい形態と親族網-超高齢化山村における高令退職者の帰郷と家族再生-
Project/Area Number |
06610205
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Research Institution | The University of Aizu Junior College Division |
Principal Investigator |
佐藤 嘉夫 会津大学短期大学部, 社会福祉学科, 教授 (20073033)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 典子 松本短期大学, 介護福祉学科, 助教授 (10142647)
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Keywords | 超高齢化山村 / 高齢二世代家族 / 修正拡大家族 / 新しい親族網 / 帰郷 / 家族再生 / 村の活性化 / 高齢退職者 |
Research Abstract |
本年度は、前年度の金山町在住の高齢者のみ世帯と他出子との間に成立している修正拡大家族の内実調査に引き続き、他出子の帰郷意向調査を郵送方式によって行った。高齢者のみ世帯152ケースのうち子供のいない15世帯を除く135世帯の高齢者が帰郷を期待する他出子182人に対し調査を行った結果、131人から回答を得た。有効回答率は71%と極めて高く、他出子側の本テーマにたいする関心の高さが現れている。 詳細な集計及び分析は、現在進行中であるが、他出子の帰郷意向は42%にも上り、いつ戻るかという時間的緊急度や希望している帰郷時の年齢にはバラツキが見られるが、帰郷に際しての条件や不安への対応策次第では、本調査研究のライト・モチ--フである定年退職後の子供の帰郷による高齢2世代家族の再生がかなり現実性を帯びてくるのではないかと考えられる。他方、帰郷を「考えていない」と回答した人々の場合は、やはり一番大きな理由として上げられているのは、“仕事"で、定年退職後も住宅ローンや教育費の負担に追われる今日の我が国の勤労者の老後生活の現実が現れている。また帰郷意向の有無や現在の居住地の遠近にもかかわらず、老親の「介護」のために金山町に帰ると考えている人は少なく、やはり自らの老後生活のためになにがしかの積極的な意義づけを求めている人が多い。 今後さらに、老親が冬季間だけ子供世帯に同居する「出暮らし老人」、子供の世帯に“引き取られた"「呼び寄せられ老人」、あるいは金山町の中で老親と子供が別れてすんでいる家族などのリファレンスグループについての事例調査を進めながら対照研究を行うことによって、子供の帰郷による高齢2世代家族の再生の方向が一層明らかになると考える。
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