1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06610286
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
細川 弘明 佐賀大学, 教養部, 助教授 (70165554)
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Keywords | マスメディア / 新聞 / 先住民族 / アイヌ / 民族意識 / 人種関係 / ステレオタイプ / 文化復権運動 |
Research Abstract |
1.各種新聞雑誌のアイヌ民族に関する記事/論説/写真等を網羅的に入手し、内容分析と資料評価を行った。資料収集は、日本資料通信社(東京)、先住民族の10年連絡会(東京)、北海道立アイヌ民族文化研究センター(札幌)、国立民族学博物館(大阪)、明治学院大学国際研究所(東京)、シサムの会(福岡)等を通じて行い、計1,427点の資料を扱った。 2.資料内容の分析・評価・選別にあたっては、前年度までに確立した枠組を踏襲して電算入力し、データベースを拡充した(APPL=FileMaker Pro2.1;ファイル容量6.2MB)。主題分類は、前年度のサブフォルダー枠組に39項を追加、計372項となった。指定キーワードは4項を追加して165項となった。 3.今年度扱った資料内容の傾向として、(i)昨春発足した「ウタリ対策懇」(内閣官房長官私的諮問機関)に言及した報道/論評が多かったにもかかわらず、その進捗状況についての具体的記載は極端に少なく、限定されていたこと。(ii)「戦後50年」という現代史の文脈でアイヌ民族の位置を考えなおす報道視点の萌芽が見られたものの、十分には展開されなかったこと。(iii)環境保護、エコロジー思想の観点からアイヌ民族を理想化して描く傾向は和人側に根強く存在するが、アイヌ側ではその言説に与するか否か、立場に両極化が見られはじめたこと、などの点が挙げられる。 4.昨年度の研究実績報告書で指摘した(マスコミの取材対象上の)「両極化傾向」に関しては、地方新聞を中心とする第二の流れ(知名度の高い従来の民族運動家以外の人々に焦点をあてた解説や紹介記事)が定着しつつあることが認められた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 細川弘明: "和人メディアとアイヌ民族データベースの概要" 佐賀大学 教養部 研究紀要. 27. 45-82 (1995)
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[Publications] 細川弘明: "先住民族と資源開発・環境問題" 平和研究. 21(編集中). (1996)
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[Publications] 松原 正毅(編): "世界民族問題事典" 平凡社, 1348 (1995)