1995 Fiscal Year Annual Research Report
オホーツク文化と靺鞨・渤海・女真文化の間の交流関係の研究
Project/Area Number |
06610374
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
菊池 俊彦 北海道大学, 文学部, 教授 (70000619)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 肇 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (70145225)
天野 哲也 北海道大学, 文学部, 助手 (90125279)
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Keywords | オホーツク文化 / 靺鞨文化 / 同仁文化 / 渤海文化 / 女真文化 / パクロフカ文化 |
Research Abstract |
研究期間2年間の第2年次である本年度は、昨年度に引き続き本研究の推進のための資料収集と整理を、且つ、収集した文献資料の翻訳と分析を行ない、これに基づいて研究成果報告書を作製した。 その具体的な内容は次のとおりである。菊池は北海道内の紋別市郷土資料館と北海道立北方民族博物館(網走市)を訪れ、そこに所蔵されているオホーツク文化の発掘資料を昨年度に引き続き観察した。天野は北海道端野町教育委員会を訪れ、そこに所蔵されている大陸系の考古学資料を観察し、また広島大学を訪れ、同大学考古学研究室所蔵の製鉄技術に関する弥生時代の発掘資料を観察した。石田は東京大学理学部および京都大学理学部を訪れ、そこに所蔵されている戦前にサハリンからもたらされたウイルタ民族の人骨を調査し、オホーツク文化人とツングース系諸民族の相関関係について研究した。 これらの調査および日常的に推進した文献収集に基づいて、本年度は本研究に関わる文献のうちから特に学界に寄与するところが大きいと考えられるロシア語文献4篇、中国語文献2篇、英語文献1篇を選んで翻訳し、これを研究成果報告書に収録した。また併せて天野がウラジオストークの研究者と共同作業で行なった渤海文化の遺跡分布一覧を、およびウラジオストークの研究者の英文未発表論文を収録した。この研究成果報告書はわが国のオホーツク文化の研究者たちに必読なものとなるであろう。 本研究の研究目的であるオホーツク文化と大陸側の靺鞨文化・渤海文化・女真文化の間の交流の関係について、北海道のオホーツク文化の遺跡にもたらされた大陸製品を検討することによって、かなり有力な見通しが得られつつあるが、この2年間にはまだその成果を発表するには到らなかった。しかしながらこの点については逐次、これを今後の論文において発表してゆく所存である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 菊池俊彦: "オホーツク海北西岸の初期鉄器時代の遺跡" 北海道考古学. 第31輯. 215-228 (1995)
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[Publications] 天野哲也: "アイヌ文化の形成-現状と課題-" 考古学研究会40周年記念論集『展望考古学』. 232-239 (1995)
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[Publications] 石田肇: "北方モンゴロイドの成立と展開.アジアからアメリカへのヒトの移動" 米倉伸之編『モンゴロイドの地球4極北の旅人』. 91-110,△171-189 (1995)
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[Publications] 石田肇: "シベリアのモンゴロイド" 生物の科学. 50. 22-27 (1996)
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[Publications] Ishida H.: "Nonmetric cranial variation of Northeat Asian populations and their population affinities." Anthropological Science. 103. 385-401 (1995)
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[Publications] Ishida H,: "Cranial morphology of the Siberians and East Asians." Akazawa T.,Szathmary E.J.E.,(eds.)Prehistoric Mongoloid Dispersals.Oxford University Press. 113-124 (1996)