1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06610398
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
木坂 基 広島大学, 教育学部, 教授 (50106572)
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Keywords | 『伊蘇普物語』 / 近代文章 / 欧文脈 / 翻訳文体 |
Research Abstract |
近代『伊蘇普物語』の文章史的意義を究めるために、現在考えているテーマとして、1.諸本の書誌的研究、2.英訳本との比較表現論的研究を試みた。 1.は、特に、明治初期の日本語訳本の木文研究を行い、初期の『イソップ物語』における文章が、どういう形で近代の文章に参加したかということの一端を明らかにした。2.は、英訳本とその日本語翻訳本との比較表現論的研究では、『AESOP′S FABLES』(BY STIKNY)とその邦訳本『直訳講義伊蘇普物語』の本文を比較対照することで『直訳講義』が、『クライブ直訳』や、『ロングマン第一』などにならった一連の英文学習書としての教育効果をねらったものであり、こうして『直訳講義』が、多くの若年読者層を得て、欧文脈としての直訳体に馴染んでいったことが推測されることを論じ 寓話の本文研究に新しい展開が期待されることを述べた。また、今回の調査でさらに『イソップ解説 教訓叢話』(西片寒川 明治44)を入手、英訳本『Aesop′s Fables』(K.Miyamoto)も加えて、本文のより細かな比較考察が可能となった。さらに、近代初期の翻訳である『通谷伊蘇普物語』については、日本近代文学館本、国立国会図書館本、及び、広島大学本の三種について調査を試みた。その結果、諸本の巻巻における刊行年に異同があり、必ずしも一系統のものではないことが明らかになった。 今後の研究内容として、諸本の収集、文体面からの考察、英訳本とのさらに綿密な対照研究、語彙面からの考察などへの展開が考えられる。
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Research Products
(1 results)