1994 Fiscal Year Annual Research Report
シェイクスピアの喜劇及び非喜劇の古版本の書誌学的研究
Project/Area Number |
06610448
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Meisei University |
Principal Investigator |
山田 昭広 明星大学, 人文学部, 教授 (60020517)
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Keywords | シェイクスピア / 書誌学 / マージナリア / 欄外書き込み / 本文批評 / 本文解釈 |
Research Abstract |
1.古版本に見られる書き込みに関しては、シェイクスピアの6篇の喜劇(Wives,Shrew,MV,Dream,LLL,Ado)および3篇の悲喜劇(Pericles,Troilus,Kinsmen)の一次資料を整理するかたわら、本年度は、明星大学所蔵の2つ折本全巻におよぶ1630年代らしい覚え書きの収集をとくに積極的に行った。 上記3篇の悲喜劇と喜劇Adoの収集と整理は手つかずに終わったものの、他の5篇の喜劇については、多少不十分な部分を残しながらも、ほぼ完全に終えることができたので、中間報告として冊子形式の報告書を作成し、別添することにした。 2つ折本にチャールトン・ヒンマンがつけた通し行数と覚え書きの収集量(行数)との割合を概数として示せば、次の通りである。 Wives,44/2730(0.016).Shrew,62/2751(0.022).MV,123/2739(0.044).Dream,62/2223(0.027).LLL,96/2901(0.033). この数字からすぐ分かるように、MVに覚え書きが一番多いのは、創作当時のシェイクスピア時代においても、また覚え書きをした読者の時代にも、それが時局的話題性の豊かな作品であったからであろう。その次に位するのはLLLであるが、ことば遊びの豊かなこの喜劇特有の読み物的特性がこの数字となって表れたものと思われる。舞台上で常に成功するShrewの覚え書きが乏しいものとなったのは、笑劇ゆえのことなのであろうか。覚え書きの質的側面とは別に、量的側面からだけでも、以上のことは言えそうである。 2.作品個々の本文の分析と批判はまだ行っていない。
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