1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06620027
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
村田 輝夫 弘前大学, 人文学部, 助教授 (10239527)
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Keywords | 原子力 / 損害賠償 / 労働災害 / 不法行為 / 原子力損害 / 風評被害 / 損失補償 / 国の責任 |
Research Abstract |
本研究の当初計画では、1.原子力「損害」の概念、2.原子力損害と労災補償、および、3.イギリスにおける原発関連訴訟の現段階とその意義について、それぞれ検討を行うことを予定していた。 (1)に関しては、「原子力損害賠償制度に関する基礎的考察(覚書)」において、原子力「損害」に関する類型論的考察、原子力事故の被害者に対する国の責任の論理的根拠について検討を行い、これを損失補償的に理解することが妥当であること、さらに、これに、原子力事業者が負う賠償責任を前提とする国の一定の賠償責任が伴った「責任に二重構造」として理解できるのではないかという試論を提起した。その詳細な展開は、今後の研究課題としたい。(2)に関しては、わが国における労働災害事故の関係者へのヒアリングを含めて具体的な事例を対象とする検討は、ヒアリング予定であった関係者の死亡という予期しない事情が発生し、当面は、公表されている資料の範囲内での検討に止まらざるをえなかったが、引き続き、検討を行う予定である。(3)に関しては、現時点では、資料収集、検討の作業中であり、研究成果を報告するには、また時間が必要である。これらについては、今後、成果がまとまり次第報告する予定である。 本研究が目標とした原子力損害についての「損害」概念の再構成、原子力損害における「被害構造」の調査・分析などは、困難ではあるが重要な意義を有するものであり、引き続き研究テーマとしたい。
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Research Products
(2 results)