1994 Fiscal Year Annual Research Report
前工業期の乳児死亡率・出生率推計のためのマイクロシミュレーションプログラムの開発-徳川期宗門改帳を史料として使用した場合-
Project/Area Number |
06630023
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Research Institution | Aichi Konan College |
Principal Investigator |
木下 太志 江南女子短期大学, 教養学科, 教授 (50234323)
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Keywords | 歴史人口学 / 宗門改帳 / シミュレーション / 出産過程モデル / 自然出生力 / 乳児死亡率 / 季節変動 / 受胎力(fecundability) |
Research Abstract |
平成6年度は、次年度に作成される出生過程を再現するシミュレーションプログラムのための資料・文献調査に焦点が絞られ、年度の前半はシミュレーション自体に関するもの、後半はシミュレーションに入力するデータに関して調査が進められた。前者に関しては、米国のPopulation Councilやプリンストン大学人口研究所で作成されたプログラムが存在し、日本においても厚生省人口問題研究所によって作成されたものがあることが確認されたが,それぞれのプログラムは各々特殊な目的のために作成されており、本研究の目的のためには、これらのプログラムの大幅な修正が必要であることも判明した。また文献調査を通じて、人口集団における個人差、特に受胎力(fecundability)の分布を考慮に入れなければ、現実的なモデルは構築されないということも明らかになった。当初、集団における受胎力の一様な分布を想定していたため、どのような受胎力の分布を想定するかが次年度の課題となった。 後者のシミュレーションに入力するためのデータ収集に関しては、主に江戸期および明治前期の出生、乳児死亡の季節変動を中心に文献調査が進められた。両者には明白な季節変動が存在することが確認されたが、特に出生の季節変動は顕著であり、5〜6月および10〜1月に2つの出生ピークがあるものが多く存在した。このような状況から、次年度の本研究の成果は、出生の季節分布を一様と仮定した従来の研究を一歩進めることができるものと考えられる。このことは、(1)記録日まで生き延びることのできた乳児のみが宗門改帳に記録される一方、記録日と記録日の間に生まれ、かつ死亡した乳児はそこに足跡を一切残さないという宗門改帳の静態統計としての性格、および(2)宗門改帳が村々によって異なる月に記録されていたという事実を考え合わせると重要な意味を持つものと言える。
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