1996 Fiscal Year Annual Research Report
新自由主義的政策下での日米情報エレクトロニクス企業の展開と国際分業の構造変動分析
Project/Area Number |
06630035
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkai-Gakuen University |
Principal Investigator |
山田 誠治 北海学園大学, 経済学部, 助教授 (60220381)
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Keywords | エレクトロニクス産業 / 電気通信業 / 新自由主義 / 国際分業 / イノベーション |
Research Abstract |
分析の結果は、情報エレクトロニクス産業で各国経済論として論じられてきた産業政策・通商政策の変化を解明する基礎的な背景をなすのが、そのハードウェア・ソフトウェアの相互関係とその国際分業に即した産業構造の展開過程に大きく規定されていることが明らかになった。 第一に、アメリカの「競争力問題」の政策的転換ともいえる変化は、情報エレクトロニクス産業そのものの構造変化を背景としており、特に1996年の「通信法」の改正の背景には、国際的標準を獲得すべく、システム・ソフト面での競争優位を背景としていることが明らかになった。ただし、規制緩和政策といわれる程、企業活動の競争的自由度については、逆に「寡占化」「提携関係の深化」等の進展もあり、放送と通信の融合に関しても現段階では競争活性化モデルが打ち出すような展開とは異なっており、その点で、今日の「新自由主義的モデル」そのもの欠陥としていわれる競争機能・市場機能そのものをより具体的次元で分析することの意義を学会等に提起する結果となっている。 第二に、日本およびアジアの情報エレクトロニクス産業の構造変化については、その政策スタンスと企業戦略の変化が、ハード部門とソフト部門では対照的な構造をとりながら、日米企業の競争敵対的関係と提携関係が錯綜している。と同時に、これはアジア各国で相当な差があるが、アメリカとの人的・技術的ネットワークを基礎としながら、自国企業の成長が相当進展しており、そのことがマレーシアなどにみられるように、産業政策にも特徴的な展開が見られるようになっている。 第三に、放送のデジタル化やマルティメディア化・インターネットの普及など、この数年間で急進展した事態が、研究対象の構造にどのような影響を与えているのか、は未解明な分野として残された。 全体的に、非常に進展の早い分野であるため、その追跡そのものに相当時間がとられ、本研究が目的としている全体的な構造そのものを明らかにする作業は、遅れており、このことは、成果発表時期がおくれることにもつながっている。
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