1994 Fiscal Year Annual Research Report
第2次世界大戦後におけるフランスの対植民地経済関係
Project/Area Number |
06630060
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Akita University of Economics and Law |
Principal Investigator |
菊地 孝美 秋田経済法科大学, 経済学部, 教授 (50153060)
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Keywords | フランス / 植民地 / モネ・プラン / マーシャル・プラン / ヨーロッパ経済共同体 / ヨーロッパ統合 |
Research Abstract |
本研究の目的は、第二次大戦後の資本主義世界の構造変化の中で、フランスの対植民地経済関係がどのように展開し、フランス資本主義にとっての植民地の意義がいかに変化したかを明らかにすることにある。より具体的には、フランスの政治、経済再建の過程で植民地がどのように位置づけられていたかを、(a)本国の近代化計画との関連で把握すること、(b)本国との経済関係を貿易、資本輸出を中心に考察すること、(c)EEC(ヨーロッパ経済協同体)の形成過程における植民地との関係をイギリスとの違いを念頭において明らかにすることを意図している。 この研究目的に沿って、平成6年度は、以下の点を中心にフランス本国と植民地との経済関係に関する研究を行った。第一は、フランス本国による植民地の再編の特徴、第二は、戦争直後から始まるフランス経済の近代化計画の特徴とそこにおける植民地の位置づけ、第三は1948年から開始されるアメリカによるヨーロッパ復興援助(いわゆるマーシャル援助)とフランス近代化計画との関連、第四は、近代化計画の展開とヨーロッパ統合への志向、である。この中で、戦後の植民地の再編において、経済的には、戦時中から進められてきたフラン圏の構築が重要な意義を有していたこと、第一次近代化計画(モネ・プラン)作成過程において、植民地も重要な位置づけを与えられ、計画庁(Commlssariat general du Plan)による植民地近代化計画が作成されたこと、しかしながら、マーシャル援助の受け入れに伴って、近代化計画が変質してくると植民地からヨーロッパに対外政策の重心が移ってくること、かかる過程の中で、ヨーロッパ統合が選択され、この枠組みに植民地を「連合」という形式で取り込んでいくこと、が明らかになった。
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