1995 Fiscal Year Annual Research Report
第2次世界大戦後においけるフランスの対植民地経済関係
Project/Area Number |
06630060
|
Research Institution | Akita University of Economics and Law |
Principal Investigator |
菊池 孝美 秋田経済法科大学, 経済学部, 教授 (50153060)
|
Keywords | フランス / 植民地 / モネ・プラン / マーシャル・プラン / ヨーロッパ経済共同体 / ヨーロッパ統合 |
Research Abstract |
平成7年度は、以下の項目を立てて、フランス本国と植民地の経済関係に関する研究を行った。(1)フランス近代化計画をめぐる戦前と戦後との連続と断絶、(2)フランス近代化計画と植民地開発計画との関連、(3)戦後フランスの対外政策とヨーロッパ統合、である。このために、1946年11月に作成された第一次近代化・設備計画(モネ・プラン)の報告書と、この報告書とは別に近代化委員会の1委員会である海外領土近代委員が中心になって作成し、48年1月に発表された海外領土近代化計画の報告書の内容の検討を行った。 この作業で、フランスの近代化計画が1940年代のビシ-政府の下での全国設備計画と連続面を持っていること、本国の近代化計画の中には海外領土近代化委員会の作業内容と開発計画の概要が示され、植民地が本国経済を「補完」するものとして重要な位置づけを与えられていたことが明らかになった。 ところで、モネ・プランは47年から実施に入ったが、47年の半ばから早くも「投資資金の調達に失敗」し、実施困難に陥った。だが、このことは計画当初から予想されていたことであり、計画庁長官モネは、「復興・近代化の達成が、物資・設備の輸入、したがってアメリカの援助なしには不可能である」と考えていた。このため、計画は、48年から開始されるマーシャル援助を受け入れる方向で再編され、アメリカからの援助資金が48年に設立された「近代化設備基金」を通じて設備の近代化に向けられることになった。こうしてフランスでは重化学工業を中心に近代化を進展し、それに見合う大市場が必要とされる中で、植民地市場からヨーロッパ市場を選択する方向が強まったのである。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] 菊池孝美: "1930年代フランスの帝国経済政策" 秋田経済法科大学『経済学部紀要』. 第23号. 1-19 (1996)
-
[Publications] 奥原清: "90年代の世界経済" 創風社, X+289 (1995)