1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06640401
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
日置 善郎 徳島大学, 総合科学部, 助教授 (90173129)
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Keywords | 輻射補正 / 電弱量子効果 / 新しい物理 / 重クォーク有効理論 / 非レプトン崩壊 |
Research Abstract |
昨年度に引き続いて電弱理論の精密解析を行うと同時に,重いハドロンの非レプトン崩壊についても調べた. 前者については,特に重点を置いたのは唯一未発見の粒子であるヒッグスボソンの質量の分析である.昨年度の報告において「現在のW,Zのデータを総合すると,ヒッグスボソンの質量の最適値が1TeV以上という異常な事態に陥ってしまうことがわかった」と記したが,この点についても詳しく検討した.具体的な問題点としては,Zの崩壊幅やe^+e^-→Z→ff反応における種々の非対称性など,他の多くのデータは軽いヒッグス(300GeV程度以下)を支持しているということで,この食い違いが,何か新しい物理の存在を本当に示唆しているのかどうかが非常に興味のあるところだが,実際にLEPのデータを分析してみたところ,軽いヒッグスを要求する実験量はタウ粒子についての非対称性に限られており,これを除いて分析すれば,軽いヒッグスはそれほどは支持されないことが明らかになった. また,後者については,BおよびD中間子の非レプトン崩壊の記述に重クォーク有効理論が適用出来るのかについての分析を行った.従来の分析では比較的軽いD中間子については,この理論は適用出来ないとする見方が優勢であったが,我々の分析の結果,新しいデータはよく再現されることが明らかになった.重いハドロンの崩壊も新しい物理を探る上で重要な情報を提供してくれるので,そこにおいて簡単な取り扱いが可能な重クォーク有効理論が適用出来ることがわかったことは大きな意義があると考えられる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] T. Hattori, T. Hayashi, T. Hasuike Z. Hioki and S. Wakaizumi: "Band D Meson Decays in the Heavy Quark Effective Theory" Prog. Theor. Phys.93. 927-938 (1995)
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[Publications] M. Consoli and Z. Hioki: "Indications on the Higgs Boson Mass from the LEP data" Mod. Phys. Lett.A10. 2245-2252 (1995)
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[Publications] Z. Hioki: "Studying Structure of Electroweak Corrections" Int. J. Mod. Phys.A10. 3803-3816 (1995)