Research Abstract |
概要:Cuを含む新しいスピネル型硫化物,Cu[Cu_xPh_<2-x>]S_4,Cu[Cu_×Co_<2-×>]S_4,(Cu_<1-x>Co_x)[Co_2]S_4,(Cu_<1-×>Ni_2)[Co_2]S_4,Cu[V_2]S_4,(Cu_<1-x>Ti_x)[Ti_2]S_4および,Cu[Cu_×E2]S_4の多結晶体の開発・合成に成功した.これらの物質のX線構造解析,磁性,電気伝導性について研究し,基礎的性質を明らかにした.また,反強磁性と超伝導性の存在を発見したCu_<1.5>Co_<1.5>S_4について集中的に研究を展開し,共同研究者とNMR,SQUID,中性子回折,低温比熱,ゼ-ベック効果,高圧効果等についても研究し,Cuイオンに関連する反強磁性,電気伝導性,超伝導性,スピン相関,および,電子相関等について多くの新しい知見を得た.また関連超伝導物質の研究も進んだ. 平成8年度の成果として特に注目されるのは,Cu_<1.5>Co_<1.5>S_4の良質の試料の低温比熱が得られ,エントロピーから,磁気転移は弱いスピンによるものであり,超伝導転移は強いパルク効果で有ることが明確になった.また,(Cu_<1-x>Co_x)[Co_2]S_4系の研究から,A位置のCuの役割が判明し,SCR理論に従う弱スピン反強磁性(T_n=20K)で有ることがわかった.また,Cu[V_2]S_4の研究から,Jahn-Teller歪みによるcubic-tetragonal協力的構造相転移がT_γ=90Kで生じていることがわかり,以前の電荷密度波としての多くの間違った解釈を正すことが出来た. 結論:初期の研究目的をほぼ達成することが出来た.しかし,良質の試料作りに困難を極め,実験と重要な関連論文の出版が遅れた.1996年度に2件の論文発表を行った.現在未発表関連論文の作成を急いでおり,冊子型の報告書作成は遅れて1997年度末に発行の予定.
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