1994 Fiscal Year Annual Research Report
リン酸基修飾光応答性クラウンエーテルの合成と機能評価
Project/Area Number |
06640755
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
赤堀 禎利 東邦大学, 理学部, 教授 (40057534)
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Keywords | 光応答性クラウンエーテル / アルカリ金属イオン / リチウムイオン / ナトリウムイオン / シス-トランス異性化 / クラウンエーテル錯体 / リン酸基修飾 |
Research Abstract |
本研究はアルカリ金属イオン、特にリチウムイオンに対し高い選択能をもつリン酸修飾光応答性ホスト分子の合成とそれらの機能評価をおこなった。 モデル化合物1a,1cと1dのトランス体をそれぞれ1-7%の収率で合成した(1bは単離精製中)。これらの化合物の光照射によるトランス体からシス体への光異性化およびその可逆異性化を検討した結果、トランス→シス異性化は365nm光で6分以内に、シス→トランス異性化は暗所で約10時間以内に可逆的に進み光応答性を示すことが見い出された。次いで1a,1cおよび1dのアルカリ金属イオンとの錯体形成能、イオン輸送能等に及ぼす光応答性効果について検討したところ、シス→トランス光異性化速度に及ぼす金属塩およびアンモニウム塩添加効果は、1a,1c,1dいずれの場合もすべての陰イオン添加により抑制された。特に1aはNa^+、1cと1dではLi^+の添加で光異性化速度が最も遅くなった。また、1a,1cおよび1dのトランス体およびシス・トランス混合物を用いてアルカリ金属の競争的抽出実験より、1aのシス・トランス混合物はNa^+に対して高い選択性(Ex_<mix>/Ex_<trans>=2.4)を示し、1cと1dでは、それらのシス-トランス混合物はLi^+に対して高い選択性((Ex_<mix>/Ex_<trans>=6.25)を示すことが明らかとなった。 以上の結果より、本研究化合物のシス体はクラウン環とリン酸基の共同効果により、1aと1cおよび1dはそれぞれNa^+およびLi^+に対し高い選択性を持つと同時にそれらの錯体生成能を光および熱によるシス⇔トランス可逆変換により制御できることが明らかにした。 なお、本研究成果は論文として投稿中である。
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