1994 Fiscal Year Annual Research Report
湖沼における従属及び半独立栄養性鞭毛藻の分布とその役割に関する基礎的研究
Project/Area Number |
06640828
|
Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
|
Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
高村 典子 国立環境研究所, 生物圏環境部, 室長 (80132843)
|
Keywords | 鞭毛藻 / 栄養レベル / 湖沼 / 微生物食物連鎖 / 分布 |
Research Abstract |
これまで湖沼生態系の構成要素として見落とされてきた鞭毛藻(10μm以下で葉緑体を持つ)と鞭毛虫(同じく葉緑体を持たない)について、様々な栄養段階の湖沼(32水域35地点:支こつ湖、洞爺湖、阿寒湖、網走湖、渡島大沼、十和田湖湖心、十和田湖子の口、中禅寺湖、湯の湖、木崎湖、中綱湖、青木湖、野尻湖、諏訪湖、女神湖、白樺湖、蓼科湖、猪名湖、琵琶湖、丸池、みどり池、琵琶湖北湖、琵琶湖南湖、湖山池、池田湖、鰻池、霞ヶ浦湖心、霞ヶ浦高浜中心、矢作ダム、秋神ダム、阿木川ダム、下小鳥ダム、御母衣ダム、高根ダム、岩屋ダム)での分布調査をおこなった。生物生産の活発な時期(春、秋の循環期と夏)の表層水について、微生物食物連鎖を構成する細菌、ピコファイトプランクトン、鞭毛藻(虫)、繊毛虫、植物プランクトン、動物プランクトンの密度を求め、栄養塩の分析を行った。細菌の密度やクロロフィルa量は湖の栄養度の指標である全リンの濃度と有意な正の相関を示したが、鞭毛藻、鞭毛虫はともに全リンの量と有意な相関は示さなかった。鞭毛藻の密度は全リンの濃度が0.05μg/l以上の富栄養湖、過栄養湖では5000cells/ml以下と少なかった。5000cells/mlを越えたのは青木湖、下小鳥ダム、木崎湖、鰻池、蓼科湖の8点のみであった。最大値は下小鳥ダム(全リンの平均値:0.011mg/l)5月の27800cells/mlであった。一方、鞭毛虫の密度は3000cells/ml以下であることが多く、これを越えたのは下小鳥ダム、鰻池、女神湖、みどり湖、蓼科湖、霞ヶ浦の7点で栄養レベルの高い湖でその密度は高くなることが観察された。最大値は女神湖(全リンの平均値:0.016mg/l)5月の9500cells/mlであった。
|