1994 Fiscal Year Annual Research Report
アオコが生産する毒物質,ミクロシスチンの湖沼生態系における挙動に関する研究
Project/Area Number |
06640829
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
渡辺 信 国立環境研究所, 生物圏環境部, 室長 (10132870)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安野 正之 国立環境研究所, 地球環境研究グループ, 統括研究官 (10109902)
彼谷 邦光 国立環境研究所, 化学環境部, 室長 (40124341)
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Keywords | ミクロシスチン / Bosmina fatalis / Poterioochromonas / Microcystis / アオコ |
Research Abstract |
霞ヶ浦及び印旛沼において7月下旬から9月下旬にかけて,アオコ細胞中,湖水中及び動物プランクトン中のミクロシスチンの量を調べたところ,アオコ細胞中のミクロシスチンの量は74〜632μg/g,湖水中へ溶存していたミクロシスチンは0〜0.33μg/L,動物プランクトンにはBosmina fatalisに6.3〜270μg/g蓄積していることが判明した。Brachionus及びDiaphanosomaには殆ど蓄積していなかった。この結果は1992年に報告したWatanabe et al.の説をうらづけるものである。琵琶湖8月の湖水中のミクロシスチン量は0.88μg/Lと,かなり多量のミクロシスチンが溶存していていることが判明した。 混合栄養を行う黄金色藻類Poterioochromonas malhamensisに有毒アオコ株Microcystis viridisと天然の有毒アオコ試料を捕食させると,本藻は有毒アオコを捕獲し,細胞内に取り込んでから消化して増殖する。有毒アオコ細胞の消化の結果としてP.malhamensis細胞内に溶出してくるミクロシスチンの動態をしらべた結果,培養株をあたえた場合には全ミクロシスチンの98%が培養液中に,2%がP.malhamensisの細胞中に存在し,天然有毒アオコ試料のを与えた場合には53%が培養液中に,15%がP.malhamensisの細胞中に,32%が消化・分解されていた。この結果から,P.malhamensisは有毒アオコを捕食した場合に,溶出してくるミクロシスチンの50%以上は細胞外へ分泌することが判明した。
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[Publications] Kaya K.and Watanabe,M.M.: "Chemistry and Toxicology of the Cyclic Heptapeptide Toxins,the Microcystins,from Cyanobacteria" Microbiol.Cult.Coll. 10. 5-33 (1994)