1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06640867
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中村 正久 広島大学, 理学部, 教授 (40130025)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高瀬 稔 広島大学, 理学部, 教務員 (80226779)
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Keywords | 5αレダクターゼ / 3β-HSD / calreticulin様蛋白 / cDNA / クローニング |
Research Abstract |
両生類において、性腺の分化は、組織及び形態学的には、変態前(分化型)、変態最盛期(半分化型)、あるいは変態後(未分化型)のいづれかの時期に起きると報告されている(Witschi,1929)。本邦産のカエルも、それらの時期に性の分化が起きるが、どの分化型もホルモンによって機能的な性の転換(精巣【tautomer】卵巣)が起きるため、性腺分化のしくみを研究する場合、非常に優れた実験材料と考えられる。当研究の実験材料として使用しているツチガエル(Rana rugosa)に雄性ホルモンを投与すると機能的な性の転換が起きる。本年度は、雄性ホルモンの合成及び代謝酵素の3β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(HSD)と5α-レダクターゼ(R)が性の転換に関与している可能性があること、また同時にCa^<2+>結合蛋白(Calreticulin)の関与も考えられることから、最初にこれら3つのcDNA遺伝子のクローニングを試みた。ツチガエルの肝臓よりmRNAを調整し、λgt10 cDNAライブラリーを作成した。3つの蛋白のcDNA断片をプローブとして用いスクリーニングしたところ、ホモロジー検索からCalreticulin様蛋白と思われる1つのクローンを得た。このクローンは全長1200bpで277個のアミノ酸をコードしていることが分かった。この蛋白のCDNAは哺乳動物のヒト、イヌ、ラット及びマウスで捕られているのみで、哺乳動物以外のでは初めて捕られたクローンであった。ヒトのCalreticulin様蛋白cDNAは572個のアミノ酸をコードしていることから、今回捕られたcDNAは部分cDNAであるものの、ヒトとの相同性は72%で高い相同性を持つ事が分かった。カエルから得られたcDNAは、上記4つの動物から得られたcDNAと同様、小胞体に存在する蛋白でC末端が細胞質に存在するため、膜貫通領域を持つ事も分かった。カエルの蛋白のC末端は他の動物と異なり、ポリEの挿入部を有していた。ノーザン解析によって,2.8kbのmRNAが肝臓に発現しているものの、特に精巣に多量に発言していることから、精子形成及び性腺分化に重要な役割をはたしている可能性がある事も判明した.3β-HSDと5α-Rについては、条件が悪いためか、こんかいのスクリーニングではクローンが得られなかったので、同じプローブを用いて、カエルゲノムDNAに相同性のある塩基配列が存在するかどうかサザン解析したところ、相同性が高いと思われる3.2kbと6.7kbDNA断片を得た。現在,ノザン解析によってこれらの遺伝子が肝臓及び性腺で発現しているかどうかを検討している。もし発現していれば、mRNAを調整しλgt10 cDNAライブラリーを作成してクローンを得、塩基配列を決定後,発現時期及び場所についても検討するつもりである.
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