1994 Fiscal Year Annual Research Report
精神障害者(痴呆性老人・知的障害者を含む)の居住環境構成に関する研究
Project/Area Number |
06650698
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
荒木 兵一郎 関西大学, 工学部, 教授 (00067547)
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Keywords | 精神障害者 / 知的障害者 / 痴呆性老人 / 居住環境 / 自立生活 |
Research Abstract |
研究計画の通りに在宅精神障害者(知的障害者を含む)の住まい方を調査した。調査対象事例数はアパートへの単身入居者4例、グループホームへの入居者20例、家族等との同居者8例、および対照群としての福祉施設入所者46例の計79例である。調査方法は本人への面接アンケート方式である。調査内容は、対象者の基本属性としての障害程度、問題行動や特殊行動の種類と状況、日常生活動作能力(ADL)等をみたのち、各種の日常生活行為について、これにかかわる空間構成との関係を検討している。 日常生活行為としては、就寝、食事、だんらん、接客、排泄、入浴、家事、および近隣や友人との交流状況や就労状況などについて、その自立度または介護度を尋ねている。自立度は単身入居者が最も高く、ついでグループホームへの入居者、福祉施設入所者、家族等との同居者の順であり、家族等と同居する場合には、能力としては自立できても家族側が世話してしまう傾向が強い。また生活習慣としての洗面や掃除、寝間着に着替えるなどを規則的にしているのは生活指導者が配属されている福祉施設入所者に最も多く、単身入居者はルーズとなりやすい傾向がある。グループホームへの入居者は、それぞれの中間に位置しており、ここにおける指導者や介助者などがどのような態度をとるかによって、本人の自立性や社会性に大きな影響があるものと考えられる。現状では本人たちの努力に期待がかけられ、放置されていることが多く、できれば、公的なサービスの充実が望まれる。建築的な工夫や配慮事項については、痴呆性老人への対応ほどには考慮されておらず、貧しい生活環境で我慢して生活している状況がみられる。とくに私物の整理に必要な収納空間が不足し、足の踏み場もないくらいに物品が氾濫している状況もみられた。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 荒木兵一郎・上野広樹(大学院): "高齢者や障害者等のための都市施設の整備状況に関する研究" 福祉のまちづくり工学研究報告集. 1. 4-10 (1994)
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[Publications] 荒木兵一郎・宮木哲男(大学院): "「ねたきり老人ゼロ作戦」にかかわる住居改善のモデル研究" 福祉のまちづくり工学研究報告集. 1. 11-18 (1994)
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[Publications] 荒木兵一郎: "住まいを考える/長生きができる住まいづくり" 隣人. 240. 60-67 (1994)
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[Publications] 荒木兵一郎・北野啓二(大学院)安松孝洋(大学院): "登山道における車いすの走行特性(1)および(2)" 日本建築学会学術講演梗概集. E. 601-604 (1994)
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[Publications] 荒木兵一郎: "高齢精神薄弱者の居住環境構成に関する研究/日常生活動作能力の世代間比較" 日本建築学会学術講演梗概集. E. 561-562 (1993)
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[Publications] 荒木兵一郎・藤井稔(文学部): "精神障害者の社会復帰に関する実態調査(III)" 関西大学人権問題研究室紀要. 27. 1-80 (1993)
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[Publications] 荒木兵一郎・定藤大弘(大阪府立大): "福祉のまちづくり/だれでもが暮らしやすいまちを求めて" 朝日新聞大阪更生文化事業団, 79 (1994)
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[Publications] 荒木兵一郎(分担): "老人性痴呆/地域ケアの実践に向けて" 医歯薬出版, 118 (1993)