1995 Fiscal Year Annual Research Report
精神障害者(痴呆性老人・知的障害者を含む)の居住環境構成に関する研究
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06650698
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
荒木 兵一郎 関西大学, 工学部, 教授 (00067547)
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Keywords | 精神障害者 / 痴呆性老人 / 知的障害者 / 居住環境 / 自立生活 / 社会復帰 / 福祉のまちづくり / グループホーム |
Research Abstract |
精神障害者の自立生活と居住環境との関係について、昨年度は自立度が比較的に高い在宅精神障害者を対象としたが、本年度は自立度が低いと考えられる病院患者(入院患者20名と外来患者10名)と救護施設入所者40名を対象に面接アンケート調査を実施した。調査内容は、当該対象者の基本属性としての障害程度、問題行動や特殊行動の種類と状況、日常生活動作能力(ADL)、生活歴(職歴、入院歴など)などをみたのちに、各種の日常生活行為について、これに係わる空間構成との関係をみている。日常生活行為としては、就寝、食事、だんらん、接客、排泄、入浴、家事、および近隣や友人との交流状況や就労状況などについて、その自立度または介護度を3段階の評価基準を設定して尋ねている。平均自立度は入院患者がもっとも低く、食事は給食のみであり、掃除や洗濯なども看護者に任せきりで、院内作業やクラブ活動なども僅かのみが従事している。救護施設入所者もほぼ同様であるが、症状が軽度なためか外出者が多く、個人的な楽しみや補助的な就労に時間を費やしている。しかし、家族や近隣住民との関係はほとんどが断絶しており、自立の意欲に欠け、多人数室でプライバシーのない施設環境でさえ長期の施設入所(平均13年)を肯定してしまっている。外来患者はすべてが家族と同居しており、昨年度の在宅同居者と同様に家族の世話に依存しているが、症状が安定していないためか、就労面での自立度が低下している。いずれにしても、多くの精神障害者たちが無為無欲の状況に陥っており、これをどの様にして意欲づけるかが重要な課題である。カラオケなどの娯楽やラジオ体操などの健康づくり、共同作業所での軽作業には参加者が多くみられるので、これらに対応する環境整備を充実させることから始めてはどうかと考えられる。さらに多人数室は他人への依存度を高めるので、居室は個室に改める必要があろう。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 荒木,兵一郎: "心身障害者の居住環境構成に関する研究/居住形態と自立度" 日本建築学会大会学術講演梗概集. E. 93-94 (1995)
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[Publications] 荒木,兵一郎: "農村高齢住宅の住まい方に関する研究(1)および(2)" 日本建築学会大会学術講演梗概集. E. 427-430 (1995)
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[Publications] 荒木,兵一郎: "生活行為の変容と屋内移動行為の障壁" 福祉のまちづくり工学研究報告集. 2. 28-35 (1995)
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[Publications] 荒木,兵一郎: "障害者の社会参加及び復帰に関する実態調査/中国(北京と上海)" 関西大学人権問題研究室紀要. 31. 21-60 (1995)
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[Publications] 荒木,兵一郎: "痴呆性老人の処遇について/その2、老人性痴呆疾患治療病棟" 関西大学人権問題研究室紀要. 32. 41-50 (1995)
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[Publications] 荒木,兵一郎: "長寿社会対応の住宅政策/終の住処づくりに向けて" 総合社会保障. 33-12. 62-69 (1995)
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[Publications] 荒木,兵一郎: "阪神・淡路大震災と建築計画" 日本建築学会, 133 (1995)
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[Publications] 荒木,兵一郎: "滋賀県住みよい福祉のまちづくり条例設計マニュアル" 滋賀県建築設計家協会, 130 (1995)