1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06650807
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
川本 信 大阪府立大学, 工学部, 教授 (40081369)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻川 正人 大阪府立大学, 工学部, 講師 (90172006)
池永 明 大阪府立大学, 工学部, 講師 (60128759)
|
Keywords | ハイス系白鋳鉄 / 摩耗 / 熱間圧延ロール / 焼入れ / 焼もどし二次硬化 / 炭化物 / 残留オーステナイト |
Research Abstract |
前年度、コバルトを約7.7mass%添加したハイス系白鋳鉄(C≒2.0%、Cr≒6.0%、Mo≒2.3%、W≒4.2%、V≒4.8%)は焼戻し2次硬化が大きく、H_Rc65程度の硬さがえられ、その耐摩耗性はほぼ同組成、同熱処理の合金粉末HIP焼結材に匹敵することを確認した。そこで本年度は、主としてコバルトの添加が凝固組織、熱処理性、熱処理組織などに及ぼす影響について検討した。 1.C、Cr、Mo、W、Vをほぼ上記の組成とし、Coが無添加、4.16、7.72mass%の3種類の白鋳鉄を高周波炉で溶製し、供試材とした。 2.Coの添加により、V系の初晶炭化物が粒状(無添加では擂子木状)に晶出し、M_7C_3共晶炭化物も細かくなり、じん性の向上に有効と考えられる。なお、Coは炭化物にはほとんど固溶しないで、基地中に均一に分布していた。 3.Coを添加することによって、当然焼入れ性は悪くなり、10K/min程度の冷却速度が必要であるが、残留オーステナイトは10%以下で、Co7.72%の試料では873K焼戻しでもほとんど分解しなかった。 4.焼戻し2次硬化状態での析出炭化物は、Co無添加では共晶炭化物の周辺には存在しないが、7.72%Co試料では無析出帯がほとんどなく、基地中に均一に析出していた。 5.Co4.16%試料の凝固組織、熱処理性、熱処理組織は無添加と7.72%添加の中間状態にあり、耐摩耗性には顕著な効果はなかった。従ってCoは少なくとも7%以上添加する必要があると考えられる。 6.次年度は、これら白鋳鉄の転がり摩耗(疲れ)について検討し、本研究をまとめるとともに論文を投稿する予定である。
|