1994 Fiscal Year Annual Research Report
結晶粒度分布の制御のための微小重力を利用した2次核発生のその場観察
Project/Area Number |
06650869
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
清水 健司 岩手大学, 工学部, 助教授 (10003881)
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Keywords | 結晶粒度分布 / 微小重力 / 2次核発生 / その場観察 / 結晶挙動 |
Research Abstract |
結晶は、医薬品から機能性素材としての需要も多く、純度および粒度の厳密な制御が要求されてきているが、その方法は確立されていない。しかも元来不安定な過飽和溶液であるため、結晶核の起源が実証されていないのが現状である。 また、多数の結晶が懸濁している工業晶析工程においては、その挙動も、他の結晶との合体により著しく製品結晶の粒度分布を左右するため成長に関する機構をも明かにすることは意義がある。そこで、本研究は、位相シフト干渉計を主体とした光学系観察装置に加えて、光散乱測定装置も導入し、結晶核の発生源 数 粒径、異物質の表面とその近傍の溶液の濃度などの構造変化、および、発生後のそれらの挙動をその場観察法で調べることを目的に、航空機による微小重力場20秒間に、結晶核の数、粒径、および挙動の測定を試み、微小重力場下の発生結晶核停止およびその後の挙動、さらに、それらの数、粒径の経時変化に関するデータを取得できた。そして、微小重力場において、過飽和溶液内で、発生結晶の挙動の停止と、それにともなう非合体、および新たな結晶の発生が生じなかったことが確認できた。また、固定結晶への微結晶の付着も起こらないことが確認できた。これらの結果は、微小重力場が、均一粒径および高純度結晶を生産する上で有効であることを示したものと考えられる。また、光散乱測定装置が微小重力下で充分稼働可能なことが確認できた。 これからは、光散乱測定装置の導入による結晶核検出の改良と、その結果の定量的評価と検討、それらのデータ解析方法等の工夫の上に、より詳細な結晶近傍の測定を、地上および微小重力場実験、特に、微結晶挙動に着目して長時間微小重力場観察に重点を置き、結晶化機構解明のための実験を継続していく必要があると考えられる。
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