1995 Fiscal Year Annual Research Report
合金電極/溶液界面における微量吸着物質のin situ解析
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06650937
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
楠 文代 東京薬科大学, 薬学部, 助教授 (70057371)
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Keywords | 光反射法 / ボルタンメトリー / 電気化学水晶発振子マイクロバランス法 / 合金電極 / 溶液界面 / 吸着 / 薬物 / 歯科用合金 |
Research Abstract |
昨年度に作製した合金電極/溶液界面における吸着現象の計測システムを用いて,貴金属合金/溶液界面及び卑金属合金/溶液界面の観測を行なった。 1.貴金属合金/溶液界面における薬物の吸着,および薬物による合金表面反応の検討 複方ヨードグリセリンのAu電極界面における吸着挙動について,光反射法及び電気化学水晶発振子マイクロバランス法(EQCM)により検討した。その結果,複方ヨードグリセリンの成分の中でヨウ化物イオンが吸着し,濃度0.01%において-0.7Vより正電位側で吸着層が生じていることが分かった。複方ヨードグリセリン存在時の各貴金属合金のボルタモグラムおよび反射率-電位曲線を測定し,生成する表面層について検討した。銀を含む合金ではヨウ化銀,また銅を含む合金ではヨウ化銅が,たかだか単分子層あるいは2分子層程度の極めて薄い表面層として合金表面に生じることを,本計測システムで明瞭に捉えることができた。 2.卑金属合金と複方ヨード・グリセリンの相互作用 複方ヨードグリセリンによる卑金属合金表面層の生成の有機を光反射法で観測したところ,表面層は生じていなかった。卑金属合金であるNi-Cr合金では,合金成分の金属がヨウ素に酸化されて合金金属の溶出が生じていると考えられ,この点が,原子吸光光度法による溶出金属イオンの定量から,確かめられた。 本研究は,分光電気化学的方法などを用いた計測システムで,歯科用合金表面で生じる薬物などの吸着現象を解明する最初の試みであった。これより,合金表面への薬物の脱吸着の有無,吸着から表面腐食への移行などの知見が得られて,薬による合金の表面反応を理解できることが分かった。
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