1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06660043
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Research Institution | Nara National Research Institute for Cultural Properties |
Principal Investigator |
小野 健吉 奈良国立文化財研究所, 平城宮跡発掘調査部, 主任研究官 (40194584)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山梨 絵美子 東京国立文化財研究所, 美術部, 主任研究官
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Keywords | 芦花浅水荘 / 白沙村荘 / 日本画家 / 山元春擧 / 橋本関雪 / 横山大観 / 琵琶湖 / 近代 |
Research Abstract |
山元春擧の芦花浅水荘(大津市)・橋本関雪の白沙村荘(京都市左京区)について、現地調査・聞き取り調査及び文献史料の収集等を行った。さらに、横山大観の池之端邸庭園(東京都台東区)に関する、資料も収集した。 芦花浅水荘庭園:山元家所蔵の写真や築造記録(『別荘入費及祝品控』)などを中心に庭園の築造過程や意匠上の特徴を分析・検討し、以下のことがらを明らかにした。(1)春擧は、芦花浅水荘の庭園を形態的にも機能的にも琵琶湖と一体のものとしてデザインしたこと(2)庭園の施工は建築と並行して大正4年の築造当初から行われたこと(3)作庭にたずさわったのは、当初は京都の庭師本井政五郎で、その後地元大津の庭師木村清太郎がうけついだこと(4)明治末か大正初期にかけて、春擧は京都の本邸の庭を作り、龍安寺石庭を作品にするなど、庭園に関する興味を強くもっていたこと。なお、これらの成果は、日本造園学会誌『ランドスケープ研究』58巻5号(1995年3月)に「芦花浅水荘庭園の築造過程とデザイン」として掲載する。 白沙村荘庭園:同時代の京都の庭園とはやや異なった趣を持つ白沙村荘の庭園意匠は、本質的には写意性に起因することを庭園の現地調査及び関雪の画風の分析等から仮説として持つに至った。その写意性は、絵画作品と同様、漢籍などに深く通じ、写実のみに撤することを是としなかった関雪の資質によるものと考えられる。次年度さらに詳細に調査・研究を進める予定である。 池之端邸庭園:池之端邸は1907年に築造されたが、1945年の東京大空襲で焼失し、戦後大観自身の手で再興された。この池之端邸の庭園の変遷及び大観の庭園観について記した資料を収集し、大観の庭園観を考察する端諸を得た。
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