1994 Fiscal Year Annual Research Report
沿岸漁業における投棄魚の混獲過程に関する研究-海洋環境に優しい漁業技術の開発-
Project/Area Number |
06660247
|
Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
松岡 達郎 鹿児島大学, 水産学部, 助教授 (80244268)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川村 軍蔵 鹿児島大学, 水産学部, 教授 (30041718)
|
Keywords | 混獲 / 選択性 / 投棄 / 底曵き網 / 行動 / 電気生理 / 側線 |
Research Abstract |
平成6年度に行われた研究は、主に(1)フィールドでの漁獲実験、(2)実験水槽での行動学的実験、(3)室内での生理学的実験に分かれる。 (1)ヒゲナガエビかけ回し式底曵き網漁業で、ポケット網とカバー網を装着した試験網による操業実験を繰り返し行った。ポケット網によるサンプルから、エビと魚類では、排除される網部位が異なっていることが分かった。カバー網の資料からは、サイズ選択性と種選択性を統一的に取り扱うモデルを開発中である。 上と同時に、小型かけ回し式底曵き網漁船による混獲魚投棄の実態調査を継続するとともに、生残率調査の予備実験を行った。前者からの資料と水揚げ量の統計から、判別関数分析・重回帰分析により、調査海域における投棄種・全投棄量の推定を進めている。後者では、有用種に関しては投棄後概ね数時間の内にほぼ全個体が死亡するという結果を得た。 (2)150トン海水タンクで、表層用ビデオ撮影装置を用い、水中を曳航されたロープ・網地・オドシに対する、マダイ・マアジの行動を分析した。両種ともロープ・オドシの前方を同航する行動を見せた。この行動は空間的に「逃避」が可能な場合にも一般的に見られたため、後方を同航する場合も含めて視覚運動反応による占位行動と考えた。 (3)実験室でコイの側線による水擾乱の受容感度を電気生理学的に調べた。側線はこれまで、運動中の漁具に対する魚の認知機関として働くと考えられてきたが、遠隔感覚としては機能しないことが明らかになった。 本年度に予定していた海上実験による魚群行動観察は、研究費補助金の追加交付以降に深海用水中ビデオ撮影装置を試作したため、平成7年度に行う。
|