1995 Fiscal Year Annual Research Report
生乳における脂肪球の擬集と細菌分布の不均一性の関連について
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06660342
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Research Institution | NIHON UNIVERSITY |
Principal Investigator |
増田 哲也 日本大学, 農獣医学部, 講師 (60165719)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森地 敏樹 日本大学, 農獣医学部, 教授 (20230138)
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Keywords | クリーミング / 細菌擬集 / 免疫グロブリン / 脂肪球皮膜 |
Research Abstract |
搾乳直後の同一個乳に各菌株の脱脂乳培養液を添加し、4℃の冷蔵室内に静置してクリーミングの状況を比較すると、特にLactococcus lactis subsp. cremorisの場合、添加した菌株間でクリーミングに及ぼす影響に相違が確認された。そこで菌体を今回設備備品として購入したBranson Model 250超音波ホモジナイザーで破砕して菌体構成ポリペプチドを、また各種の膜タンパク質可溶化剤で処理して菌体表層構成ポリペプチドを調製してSDS-PAGEで比較すると、L. lactis subsp. lactisとL. lactis subsp. diacetylactisは比較的近似な泳動パターンであった。一方L. cremorisはSDSあるいはTriton X-100で抽出した画分の泳動パターンが4つのグループに大別され、亜種内でも菌株間で大きく相違することが明らかとなった。また菌体表層構成グリコポリペプチド組成は、L. diacetylactisとL. lactisは比較的近似なパターンで、しかも両亜種間でも近似なものであった。しかしL. cremorisの場合は菌体表層構成ポリペプチドが非常に近似したものでも、それらのグリコポリペプチドパターンには差異があり、L. cremorisのこの菌体表層の構成成分の差異がクリーミングに及ぼす影響の相違に関与していることが示唆された。L. cremorisの菌体表層構成ポリペプチドをSDS-PAGE後、PVDF膜にブロッテンングし、この膜にBovine lgM溶液を作用させ、lgMが結合した菌体表層ポリペプチドをBiotin labeled anti bovine lgMを使用し検索すると、クリーミングに対して全く正反対の影響を示す菌株間でも、lgMが結合するポリペプチドは両者でほぼ同様に存在しており、したがって、lgMを介して脂肪球の擬集に関与する度合い、言い換えればクリーミングへの影響の相違はこれら、lgMに対する菌体のレセプターの有無ばかりではなく、そのレセプター存在部位の立体構造も大きく影響するものと推察された。
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