1994 Fiscal Year Annual Research Report
生乳における脂肪球の凝集と細菌分布の不均一性の関連について
Project/Area Number |
06660342
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
増田 哲也 日本大学, 農獣医学部, 講師 (60165719)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森地 敏樹 日本大学, 農獣医学部, 教授 (20230138)
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Keywords | クリーミング / 細菌凝集 / 免疫グロブリン / 脂肪球皮膜 |
Research Abstract |
Lactococcus lactis subsp.cremoris(HP,122-1,H-61,924,およびH41-7)の脱脂乳培養液を搾乳直後の各個乳に添加し、低温下(4℃)に17時間静置してクリーミングの状況を比較したところ、菌液の添加がクリーミングに及ぼす影響は個乳間で差異が確認された。そこで各個乳の理化学的一般性状を検討すると共に、低温下で脂肪球を凝集しクリーミングを促進することが確認されたIgM、ならびに他の免疫グロブリン含量をRID法で比較したが、菌液を添加した際のクリーミングの状況とこれら免疫グロブリン含量には規則性はなかった。今回の実験で菌液の添加によりクリーミングが著しく抑制される場合が確認され、そのメカニズムについて乳中の凝集素と添加した菌株の特異性が著しく高いため、低温下で顕著となるIgMの脂肪球への非特異的な結合が疎外されるためではないかと考えているが、この点については来年度に実施する菌体表面のIgMに対するレセプター部位の有無および差異についての検討を待たねばならない。 また、クリーミングに寄与することが示唆されたP1画分(乳清をSephacryl S-300でゲルろ過した際のVoid volume溶出画分)の構成ポリペプチドは脂肪球皮膜のそれと非常に類似したものであることが明らかとなった。さらにクリーミング現象はシアル酸の添加により抑制されることを確認していたので、P1画分と脂肪球皮膜の両者をSDS-PAGE後、PVDF膜に転写しシアル酸を特異的に認識するレクチンを反応させたところ、脂肪球皮膜の外周に存在するポリペプチドとしてMather(1975年)が報告したcomponent 15,16と同一と思われるバンドの非還元末端にもシアル酸が存在することが確認された。
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