1994 Fiscal Year Annual Research Report
アルコール及びコカインの併用による致死作用に関する研究-コカエチレンの関与とそのメカニズム
Project/Area Number |
06670456
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
福井 有公 京都大学, 医学部, 教授 (10025588)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 智恵美 京都大学, 医学部, 助手 (10115842)
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Keywords | cocaethylene / cocaine / ethanol / buprenorphine / opioid μ receptor |
Research Abstract |
ICRマウスにおけるコカインとエタノールの併用による中毒作用については、急性投与実験(腹腔内投与)によってコカイン(75mg/kg)の致死作用、特に遷延性の致死作用、のエタノール(3g/kg)による増幅が実験により証明された。急性投与によって死亡した動物については、非中毒量投与系と同様、血液、肝臓、及び脳について、コカエチレンが同定された。また、致死量以下のコカイン(50mg/kg/day)及びエタノール(3g/kg/day)の5日間以下の連続腹腔内投与実験においても同様の結果が得られた。連続投与実験におけるエタノールの投与については、液体飼料を用いた経口投与も試みられたが、腹腔内投与実験同様コカイン(60mg/kg/day)の致死作用のエタノールによる増幅が証明された。 コカインとアルコールの併用による中毒作用発現のメカニズムについては、今回の実験ではコカインとエタノールの作用の両方に関係の深い脳内receptorとして報告のあるμ opioid receptorを取り上げ、receptorのligandとしてコカイン(単独投与)の致死作用を抑制するとされるbuprenorphine(lepetan)の効果を実験的に検討した。急性投与実験(腹腔内投与)においては、buprenorphine(0.25mg/kg)はコカイン(75mg/kg)単独投与時の致死作用を抑制したが、2倍量(0.5mg/kg)の投与によりエタノールによって増幅されたコカインの致死作用、特に遷延性の致死作用、をも有意に抑制した。buprenorphineによる致死作用抑制効果は、限られた投与量の範囲にのみ認められた。連続腹腔内投与実験においてもこの傾向が示されたが、連続投与系においては逆にエタノール単独投与時(3g/kg/day)にbuprenorphineによる致死作用の増幅が認められた。急性投与による死亡例については、コカインとアルコールの併用例でコカエチレンの同定が可能であったが、buprenorphine投与例の脳におけるコカエチレン濃度の有意な低下が認められた。
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