1995 Fiscal Year Annual Research Report
線維芽細胞増殖因子ならびにストレス蛋白に関する法医神経病理学的研究
Project/Area Number |
06670462
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Research Institution | Nagasaki University School of Medicine |
Principal Investigator |
中園 一郎 長崎大学, 医学部, 教授 (30108287)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津田 亮一 長崎大学, 医学部, 講師 (20098875)
久保 真一 長崎大学, 医学部, 助教授 (10205122)
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Keywords | 線維芽細胞増殖因子 / ストレス蛋白 / 免疫組織化学 / 法医剖検脳 |
Research Abstract |
本年は閉鎖性頭部外傷、特にびまん性軸索損傷例について繊維芽細胞増殖因子(a-FGF,b-FGF)およびストレス蛋白(HSP72)等を免疫組織化学的に染色し法医神経病理学的に検討した. びまん性軸索損傷(DAI)はびまん性能障害(DBI)のひとつの病態であり軸索以外の損傷として海馬の神経細胞の変化について検討した.閉鎖性頭部外傷18例についてDAIの病理所見をみたところ11例がDAIと考えられた.海馬は脳挫傷が高度な症例等を除く14例について免疫組織化学的に細胞骨格蛋白MAP2,NF200,神経伝達物質(EK,VIP),a-FGF,b-FGFおよびHSP72,アポトーシス遺伝子産物c-FOSを染色し観察した. その結果a-FGFはいずれも症例にも観察できなかったがその他の抗体は染色できた.各種抗体による染色像をアンモン角の領海毎に観察すると即死例と5ヶ月生存例を除く12例においてMAP2,EK,VIP,HSP72,c-FOS,b-FGFは海馬のcA2-CA4の領域では良好な染色性が得られたがCA-1領域の染色が低下していた.これらの結果から海馬のCA1神経細胞に機能性障害が生じているものと考えられ,残存する神経細胞において細胞修復機転が作用しているものと考えられた.特にストレス蛋白HSP72や線維芽細胞増殖因子b-FGFは神経細胞の障害抵抗性,細胞修復をよく反映しているも のと推定される.
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