1995 Fiscal Year Annual Research Report
実験的アルコール性肝障害におけるアポトーシスの発現について
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06670590
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
高瀬 修二郎 金沢医科大学, 医学部, 教授 (50064572)
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Keywords | アルコール性肝障害 / アポトーシス / アルコール・ピラゾール肝炎 / Nick end labeling / DNA fragmentation / Fas抗原 / Le^Y抗原 |
Research Abstract |
総カロリーの36%をエタノールに置換した液体飼料に、アルコール脱水素酵素阻害剤であるピラゾールを添加して、12週間ラットを飼育すると、血清トランスアミナーゼ活性が上昇し、中心静脈周囲の肝細胞に著明な風船化が認められ、ヒトのアルコール性肝炎に類似の組織所見が認められた。 上述のアルコール・ピラゾール肝炎では、1)Nick end labeling法による陽性細胞は対象群より明らかに多く認められた。しかし、すべての風船化肝細胞が染色されたわけではなく、一方、膨化を認めない肝細胞にも陽性所見が認められた。2)肝組織より抽出したDNAのfragmentationが確認された。3)抗Fas-lgM抗体を用いたFas抗原についての検索では、肝細胞全体が染色され、この実験モデルにおける特異的染色所見が得られなかった。また、Le^Y抗原については、今回用いた抗体では陽性所見は認められなかった。以上のごとく、ラットのアルコール・ピラゾール肝炎では、明瞭にアポトーシスの発現していることが確認された。 次いで、同モデルの肝組織について、cytokeratinの変化について検討すると、1)抗cytokeratin抗体を用いた免疫組織化学とnick end labeling法の二重染色では、膨化した肝細胞の多くについて、両者の陽性所見が認められた。しかし、一部の肝細胞では、抗cytokeratin抗体に対してのみ陽性所見が認められた。2)0.5% Triton X-100の処理によって不溶性のcytokeratin蛋白を抽出し、SDS-PAGEによって泳動されないcytokeratin、すなわちtransglutaminaseによって架橋されたcytokeratinの出現状況について、抗cytokeratin抗体を用いたimmunoblotting法によって検索すると、アルコール・ピラゾール肝炎では、対照群に比較して、明らかに強い陽性所見が認められた。したがって、apoptosisの発現過程で誘導・活性化されるtransglutaminaseによってcytokeratinが架橋され、detergentに対して水溶性のcytokeratinになるものと考えられ、アルコール性肝炎の組織学的特徴であるマロリ-体の形成機序との関連が示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 川原 弘、松田芳郎、高瀬修二郎: "アルコール性肝炎におけるapoptosisの発現" アルコールと医学生物学. 14. 141-144 (1994)
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[Publications] H Kawahara, Y Matsuda, S Takase: "Is apoptosis involved in alcoholic hepatirtia?" Alcohol & Alcoholism. 29(S1). 113-118 (1994)