1995 Fiscal Year Annual Research Report
抗人ロリクリン単クローン抗体の作成と各種皮膚疾患におけるロリクリンの局在の検討
Project/Area Number |
06670850
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
坂井 博之 旭川医科大学, 医学部, 助手
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Keywords | ロリクリン / インボルクリン / 乾癬 |
Research Abstract |
乾癬表皮のcornified cell envelope形成におけるロリクリンの染色性を正常表皮と比較検討した。対照としてcornified cell envelopeのもう一つの構成成分であるインボルクリンを用いた。その結果、正常表皮ではインボルクリンの沈着にともないcornified cell envelopeの形成が角層下方ないし角層直下で起こること、次いで角層上方に至ると、インボルクリンの染色性は減少し、ロリクリンの沈着が認められることが示された。ロリクリンの沈着は下方では細胞質に、上方では細胞膜に一致して認められた。一方、乾癬表皮ではcornified cell envelopeの形成は、表皮のより下方から始まり、ロリクリンの染色性は低下したままであり、インボルクリンの抗原性は角層上方まで維持されることが示された。乾癬ではインボルクリン主体のcornified cell envelopeの形成がより未分化な段階の表皮細胞でなされてしまい、その後、ロリクリンによる修飾はあまり起こらないものと考えられた。ロリクリンの遺伝子発現はprotein kinase CによりAP-1を介して制御されることが報告されているが、乾癬表皮においてprotein kinase Cの活性化が推定されているにもかかわらず、ロリクリンの発現が低下している理由は不明である。乾癬表皮ではターンオーバー時間の短縮が認められており、このことがロリクリンの発現低下に関与している可能性がある。われわれのグループは乾癬表皮におけるロリクリンmRNAの低下を証明しており、乾癬においてロリクリンの合成低下が起こっていることは間違いないものと推定している。
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