1994 Fiscal Year Annual Research Report
放射線治療の容積効果と形態保持に関する分子生物学的研究
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06670894
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
白土 博樹 北海道大学, 医学部・付属病院, 講師 (20187537)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安田 元昭 北海道大学, 医学部, 助手 (90239765)
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Keywords | 放射線 / 細胞接着因子 / 形態温存 / カドヘリン |
Research Abstract |
放射線治療後の形態温存効果が著しかった臨床例の解析を進め、特に鼻・唇などの形態が温存される症例の線量・効果関係を求めた。また、頭頚部での40Gy照射後、65Gy照射後の組織中のカドヘリン量の解析を免疫染色にて行い、正常組織では40Gyでは細胞間のカドヘリン染色の軽度低下があるが、65Gy照射後5年後ではその量が回復していることが示唆された。これは、放射線治療中は浮腫・炎症などで皮膚組織が変化するものの、治癒後は形態が保存されていることと一致する新知験である。同様に、マウスに対して10Gy照射し、その後のカドヘリンの染色性を調べてみたが、染色結果はヒトほど明らかではないものの照射後一時的に低下することが示唆された。一方、in vitroにおいて、HSC-3細胞の遊走能と照射との関係を、その培養液中のchemo-attractantで変わることを利用したmotility asseyで調べた。0,2.5,5.0,7.5Cy照射した3Y1細胞のconditioned mediumを用いて、HSC-3細胞の遊走能の変化を調べたところ、この範囲での線量によるmotility微増あるいは変化なしであった。この線量では、chemo-attractantの量が無変化あるいは微増することが示唆された。さらに、最近形態形成に関係が深いことが示された肝細胞増殖因子(HGF)に注目し、細胞動態とHGF関係を調べ、HGF産生能の高いMRC5細胞がHGF産生能の低い3Y1細胞よりも細胞浸潤の誘導能が多いことを発見した。形態保持の基本となる容積効果につき、細胞遊走をその機序として取り入れた数学的生物モデルを作り、1cm以下の領域での急激な耐容線量の増加を世界で始めて予測することに成功し、この結果は字句の若干の訂正を待って英文学術雑誌に受理されることが約束されている。
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