1995 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトCD5^+Bリンパ球におけるapoptosis関連遺伝子の発現の検討
Project/Area Number |
06671096
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Research Institution | Shimane Medical University |
Principal Investigator |
森川 景子 島根医科大学, 医学部, 講師 (50116422)
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Keywords | CD5 / lymphocyte / B / Fas / Bcl-2 |
Research Abstract |
平成6年度の実験結果をもとにして、7年度の研究では活性化Bリンパ球に発現されるCD5抗原の意義を明らかにすることを目的とした。Bリンパ球はリンパ組織で処女Bから記憶B細胞か形質細胞に分化するが、どちらの方向に分化するかという選択性に関してはCD40抗原を介するT細胞とB細胞の相互作用が重要であることが最近判明してきた。これをin vitroで再現するためにCDw32L細胞を培養皿にcoatingして、ここに抗CD40単クロン抗体を添加してBリンパ球を培養する実験系を作成した。この系で培養したB細胞のDNA合成能を測定することによって増殖能を、また上清に分泌された免疫グロブリン量をELISA法で測定して抗体産生能を調べることによりBリンパ球の分化能を判定することができる。ここに抗CD5単クロン抗体を添加してCD5抗原の作用を調べた。結果は、抗CD5抗体はBリンパ球の増殖反応にはなんら影響をおよぼさなかったが、抗体産生能を濃度依存的に抑制した。次にこの抑制のシグナルはBリンパ球の成熟にいかなる影響を与えるかを調べるため、培養Bリンパ球を抗CD38単クロン抗体と抗IgD単クロン抗体を用いた蛍光抗体二重染色法にて染色してフローサイトメトリーで解析した。抗CD5抗体添加群ではCD38-、sIgD-細胞(記憶B細胞フェノタイプ)の比率が増加し、CD38+sIgD+細胞(germinal centerB細胞フェノタイプ)やCD38-、sIgD+細胞(処女B細胞フェノタイプ)の比率が低下していた。この結果はCD5抗原を解するシグナルが、処女B細胞からGerminal centerB細胞を経て記憶B細胞への分化を阻止する方向に作用していることを示唆する。今後はこのCD5抗原の作用と、CD5+B細胞に発現されるFas抗原とそのアポトーシス作用の関係についてさらに検討を加えてゆく予定である。
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