1994 Fiscal Year Annual Research Report
妊娠中毒症におけるexaggerated natriuresisの研究
Project/Area Number |
06671151
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
出浦 照國 昭和大学, 医学部・内科, 教授 (30138466)
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Keywords | 妊娠 / 妊娠中毒症 / exaggerated natriuresis / 容量負荷 / 圧-利尿曲線 / 腎血流のautoregulation |
Research Abstract |
目的:妊娠中毒症における高血圧の発症因子を知ることは本症の解明の上できわめて重要である。そこで今回、容量増加の見られる妊娠中に高血圧を発症したとき、exaggerated natriuresisが非妊娠時より起こりやすくなっている可能性を想定してその事実の確認と、機序について検討した。 成績:ヒトにおいても、ラットにおいても、生理食塩水あるいはアルブミンによる容量負荷で、非妊娠コントロールと比べてNa利尿反応が有意につよく見られた。つまり、圧-利尿曲線の傾きが強くなる傾向を示した。また、容量減少が見られると考えられている妊娠中毒症では、Na排泄率(FENa)が著しく低下していた(1.0%以下)。この妊娠中毒症例で、著しい高血圧が持続する例に容量負荷を行なうと、非妊娠時と全く逆に、血圧が著明に低下し、圧-利尿曲線の傾きの変化を見なかった。つまり、exaggerated natriuresisが著しく抑制されていた。ラットに妊娠させ、その後期に持続血圧測定下に電磁血流計により腎血流量を測定して腎血流のautoregulationを観察したところ、妊娠により腎血流のautoregulationは保たれていたが、右へ約20mmHg変移していた。つまり妊娠時は、非妊娠時より低い血圧で腎血流が増加しやすい傾向にあった。renin活性は妊娠により著しく亢進するが、妊娠中毒症では逆に低下する。またhANPは妊娠中毒症で低下傾向にあるが、バラツキが大きく、一定の結論は得られなかった。 結論:妊娠中毒症を引き起こしやすい女性は、なんらかの理由により、腎血流のautoregulation調節機構が障害しているか、あるいは変移しており、これが軽い高血圧でも妊娠時容量負荷によりexaggerated natriuresisを引き起こしやすい要因となって、容量減少を招き、妊娠中毒症特有の病変の発症につながっているものと考えられた。renin-angiotensin系、hANP、prostaglandinなどが関与しているものと思われるが、今回はその関連性について明らかにし得なかった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 出浦照國: "内科学 第6版" 朝倉書店, 5 (1995)
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[Publications] 出浦照國: "新内科学大系" 中山書店, 15 (1995)