1994 Fiscal Year Annual Research Report
透析患者におけるマクロファージ・スカベンジャー受容体からみた動脈硬化症進展機序
Project/Area Number |
06671158
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
佐中 孜 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (50075553)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 稔 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (20246474)
小俣 正子 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (10185671)
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Keywords | 単球 / マクロファージ / スカベンジャー・レセプター / 動脈硬化症 / 血液透析 / RT-PCR法 / サザンプロット法 / 酸化LDL |
Research Abstract |
《目的》末梢血中の単球/マクロファージ(以下,Mφと略す)上に発現するスカベンジャー・レセプター(以下,SRと略す)はtypeIとIIの2種類のphenotypeを有するが,両者ともコレステロールの動脈壁沈着機構上,重要な役割を持つ。血液透析患者における促進性動脈硬化の進展機序を解明するために,血液透析患者の末梢単球/Mφ上でのSR発現を検討した。 《対象》安定維持血液透析患者4名(男性2名,女性2名)と年齢,性が一致した健康成人4名(コントロール)を対象とした。 《方法》末梢静脈血より単核球をficolに分離後,プラスチック・プレート上にて,単核球を5%CO_2,37℃にて7日間培養した。培養4日から7日で,培養細胞からRNAを抽出し,そのSR typeIおよびIIのmRNA発現様式をRT-PCR法とサザンブロット法にて評価した。 《成績》(1)SR typeIは,全患者において,対照より1〜2日早期に発現していた。(2)SR typeIの発現は,培養日数に比例して増強され,患者群において培養5〜7日で統計学的に有意に増加していた。(3)SR typeIIの発現には,両群間に有意差は認められなかった。 《考按ならびに結語》慢性腎不全患者の血液中より得た単球由来MφのSRmRNAは、酸化LDL添加培養液で24時間培養したMφにおいてその発現が認められ、コントロールとしての健常者Mφでも同様の成績が得られたが、腹膜潅流あるいは血液透析患者由来のMφにおいて著明となる傾向にある旨を明らかにしてきたが、今回は、更に、血液透析患者において,SRのtypeに分けて観察すると、typeIのmRNAが選択的に増強されていることを見出し、これが動脈硬化進展の一因であると考えた。その他、腹膜透析患者の腹膜皮細胞層においてSRの発現について検討し、硬化性腹膜炎の発症においては酸化LDLが関与するものと推察している。
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