1994 Fiscal Year Annual Research Report
大腸全摘術後の代償機構と回腸嚢作成の意義についての研究
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06671320
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
康 謙三 近畿大学, 医学部, 講師 (00183327)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
香山 仁志 近畿大学, 医学部, 助手 (30247994)
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Keywords | 大腸全摘術 / 回腸嚢 / 嫌気性菌 / HBT / PYY / GLI |
Research Abstract |
1、臨床研究:Lactulose(18g)経口投与によるhydrogen breath test(HBT)では副作用として下痢・腹満が高率に認められ、腸管通過時間にたいしても腸管刺激による促進作用が懸念されるため、lactose経口投与に変更して検討した。健常者14人による両者の比較検討では、下痢・腹満などの副作用と水素ガス産生率の面からlactose20gの経口投与が至適量で、lactulose(18g)に比して水素ガス産生率に差はなく、下痢は約1/5に減少しており、有意義な方法と評価しえた。大腸全摘術後患者に施行したこのlactose-HBTと胃排出(アセトアミノフェン法)の同時測定では、術後の経過とともに水素ガス産生率が増加し、消化吸収に有利な腸管通過時間の延長が認められるようになるが、主に胃排出の遅延によることが判明した。(第36回日本平滑筋学会にて発表、1994年8月) 2、実験研究:大腸全摘犬(回腸嚢群3頭、端端吻合群3頭)の術後6ヵ月に摘出した回腸粘膜PYY・GLI免疫組織染色の検討では、正常犬PYY・GLI腸性細胞数はともに回腸末端で平均PYY62/mm^2、GLI34/mm^2と最も高密度に分布し、口側に向かうにしたがって減少していた。回腸嚢群と端端吻合群の比較では、回腸各部位で回腸嚢群のPYY・GLI陽性細胞数が端端吻合群や正常対照より多数を占めていたが有意差はなく、部位別陽性細胞数の合計数では回腸嚢群PYY陽性細胞数のみが端端吻合群や正常対照より有意の増加を示していた。PYY陽性細胞法については以前に発表した報告(日本平滑筋学会雑誌29巻;396-398)と同様の結果がえられたが、今回新たに検討したGLI陽性細胞数についてはPYY陽性細胞数と同様の傾向をみとめるものの有意の差を示すことはできなかった。各群の個体数を追加するとともに、術後1年目での検討を予定している。
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Research Products
(1 results)