Research Abstract |
これまでに行った研究結果から,有茎滑膜弁,遊離滑膜およびfibrin clotを併用することにより,膝同種移植半月の再生を促進できることが判明した.今回,これらの作用機序を解明することを目的として同種半月移植後の微小血管造影を行った. 家兎の内側半月を全切除後,冷凍保存した同種半月移植単独(A群),移植半月を有茎滑膜弁で被覆(B群),遊離滑膜で被覆(C群),さらにfibrin clotで被覆(D群)した4群に分け,それぞれ移植後4,6,8,12週で屠殺し微小血管造影を行った. 移植後4週では,B群では移植半月表面を走行する血行が半月遊離縁まで達していたが,A,C,D群では半月辺縁部付近に存在する程度であり,A群で最も遅延していた.6週でC,D群の血行は移植半月遊離縁にまで達するようになったが,B群では半月表面の血行が実質に貫入しており,8週になりC,D群で同様の所見を認めた.A群では12週で半月表面の血行が遊離縁まで達するようになったが,B,C,D群における新生血管の増生は消退していた.また,A〜D群いずれも,移植半月周辺滑膜から移植半月辺縁実質へ直接侵入する血行を8週で認め,各群における差はみられなかった. これまでの研究結果から,同種移植半月の再生は有茎滑膜弁使用群で最も促進されることが組織学的に証明されていたが,有茎滑膜群では血行が温存されており,新生血管とともに結合組織が移植半月表面から実質に侵入し再生が促進されるものと思われる.しかし,移植半月辺縁部では各群の再生に差はみられず,有茎滑膜弁,遊離滑膜,fibrin clotの使用による再生促進の効果は,半月の内方2/3付近であることが推察される.
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