1994 Fiscal Year Annual Research Report
瘢痕由来線維芽細胞に対するTumor Necrosis Factorの作用
Project/Area Number |
06671497
|
Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
江藤 久志 川崎医科大学, 医学部, 講師 (00168791)
|
Keywords | ケロイド / 肥厚性瘢痕 / 成熟瘢痕 / TNF-α / IFNα-2b / ELISA / 組織培養 |
Research Abstract |
現在までに成熟瘢痕5例、肥厚性瘢痕3例、ケロイド2例それに成熟瘢痕と肥厚性瘢痕症例では、周囲の正常皮膚を含めて採取した。まず同一症例患者血清中のTNF-α値をELISA法(TNF-α Human ELISA Kit)を用いて測定(duplicate)した。広範囲熱傷後の肥厚性瘢痕患者(受傷後2年)1症例において高値(60pg/ml)を示したが、他の者は全て15pg/ml以下であった。 また、採取した各組織より遊出した線維芽細胞を継代培養中である。現在までにP3〜P7(P:Passage)の培養線維芽細胞において増殖能を比較し、ケロイド>肥厚性瘢痕≧成熟瘢痕≒正常皮膚という結果を得たが、再現性に若干のばらつきがみられた。さらに各培養液中のTNF-α値をELISA法を用いて測定したが各群とも低値で有意差は認められなかった。 次にin vitro培養系におけるTNF-α(Human,Recombinant)およびIFNα-2b(Recombinant)投与による影響を検討した。【投与濃度:TNF-α:lng,10ng,100ng,IFNα-2b:10IU,100IU,1000IU】TNF-α投与により正常皮膚及び成熟瘢痕由来線維芽細胞では、コントロール群(非投与群)に比べ増殖促進傾向がみられた(濃度依存性)。しかし、ケロイドと肥厚性瘢痕では、コントロール群と有意義差はなかった。また、P3〜P7間での有意差も認められなかった。一方、IFNα-2b投与群では全ての線維芽細胞の増殖が抑制された。特にケロイド及び肥厚性瘢痕由来線維芽細胞ではその抑制効果が大きかった(ケロイド>肥厚性瘢痕>成熟瘢痕≒正常皮膚)。また、TNF-αとIFNα-2bの併用では、ケロイド由来の2群において線維芽細胞の増殖が抑制された。 現在TGF-βを用いた検討を行っている。
|