1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06671744
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
伊藤 信輔 久留米大学, 医学部, 助教授 (30144356)
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Keywords | 迷路機能 / 前庭脊髄反射 / 平衡障害 / 半規管 |
Research Abstract |
迷路機能の不均衡が身体運動に及ぼす影響を正常人と臨床症例を対象として、運動中の筋電図ならびにビデオ記録によって調べた。正常人に対しては、迷路に温度刺激を加えることによって迷路機能の不均衡な状態をつくったが、その際2通りの方法を用いた。一つは非生理的な迷路機能の不均衡を作るために、一側の冷刺激のみと、もう一つは生理的な迷路機能の不均衡を作るために、一側を冷刺激すると同時に反対側を温刺激した。 得られた結果は、正常人における足踏み運動中の下肢抗重力筋の活動は、一側の迷路の冷刺激によって不規則となり、運動は失調性となって刺激側に転倒する傾向が認められた。しかし一側の冷刺激と反対側の温刺激をを同時に加えた場合には、下肢抗重力筋の活動はより規則的で、運動失調の度合いはより軽く、転倒経口は現れないことが明らかになった。すなわち生理的な迷路機能の不均衡の方が、生理的な迷路機能の不均衡より、身体の運動障害をひきおこす影響が大きいことが分かった。 一側性の迷路障害を有する患者における運動障害は、上記の非生理的な迷路機能の不均衡状態のそれに相似していることが明らかになった。すなわち足踏み運動中、下肢抗重力筋の不規則な活動が記録され、運動は失調性となって患側に転倒する傾向が認められた。このような異常は、発病後次第に軽減したが、頭部の回転運動を伴う歩行を行う場合には、依然として異常が発現することも明らかになった。
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