1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06671755
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
田村 敏博 金沢大学, 医学部附属病院, 助手 (50207247)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
輪島 良平 金沢大学, 医学部附属病院, 講師 (30201164)
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Keywords | フルオロキノロン剤 / レボフロキサシン / インターフェロン / 眼内動態 / 網膜電図 / 家兎 |
Research Abstract |
本年度はフルオロキノロン剤の中からレボフロキサシンを選択して種々の検討を行った。まず同薬剤を白色および有色家兎に全身投与(経口投与)し、1時間〜6時間後の眼内移行を検討した。その結果、白色家兎では投与1時間後に最も多くレボフロキサシンが眼内に移行してその後は時間経過とともに減少したのに対し、有色家兎では1〜6時間後で眼内移行はほぼ同程度であった。全身投与後の眼組織ごとのレボフロキサシン濃度の測定から、メラニン含有組織(虹彩毛様体および脈絡膜)への移行が白色家兎に比し有色家兎で有意に高く、レボフロキサシンのメラニンに対する親和性の高いことが眼内動態に強く影響していることが判明した。また、レボフロキサシンの網膜におよぼす影響を摘出眼杯網膜電図(ERG)を指標として検討した。この検討にあたってはレボフロキサシンの光学異性体(DR-3354)との比較を行い、光学異性体間で網膜へおよぼす影響に差異があるかどうかについても検討した。その結果レボフロキサシンでは500μM灌流で、DR-3354では300μM灌流で律動様小波の振幅の低下がみられた。ERGに変化をきたさない薬物濃度はDR-3354に比してレボフロキサシンで高く、光学異性体間で網膜への影響に差が認められた。また、レボフロキサシンのERGに変化をきたさない濃度は他のフルオロキノロン剤に比して高く、レボフロキサシンの網膜に対する毒性が低いことが推測された。 一方、ウイルス性眼感染症や眼内悪性腫瘍に対して用いられるインターフェロンの網膜におよぼす影響を摘出眼杯ERGを指標として検討した。インターフェロンβ5,000および10,000IU/mlの15分間の灌流で摘出眼杯ERGに変化はみられず、これらの濃度のインターフェロンβの眼内灌流は臨床的にも許容されうる濃度であると考えられた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 望月清文 他: "ウサギにおけるレボフロキサシン単回経口投与後の眼内移行" 日本眼科学会雑誌. 98. 1085-1090 (1994)
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[Publications] 望月清文 他: "3種の薬物の眼内灌流液への添加の可能性-白色ウサギ摘出眼杯ERGによる検討-" あたらしい眼科. 11. 1613-1617 (1994)
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[Publications] 望月清文 他: "レボフロキサシンおよび光学異性体(DR-3354)の白色ウサギ網膜に及ぼす影響" あたらしい眼科. 11. 1775-1778 (1994)