1994 Fiscal Year Annual Research Report
ニワトリ胚移植検定法を用いたマウス臼歯発生過程での細胞分化.成長因子の検出と分析
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06671810
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山合 友一朗 岡山大学, 歯学部, 助手 (00158057)
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Keywords | 重複肢誘導 / マウス / 歯胚 / 間葉 / ニワトリ胚 / 移植 / モルフォゲン |
Research Abstract |
昨年ハーバード大のRiddleらによってSonichedgehog(Shh)がモルフォゲンの一つであることがつきとめられた中で、歯牙形態形成の際のモルフォゲンや成長因子の同定は急務を要すると痛感した。そこで、著者らは東北大の井出らの開発した系を検定系として応用し、ステージ20〜21のニワトリ胚翼芽の前端の外胚葉直下に所要時期のC3Hマウスの歯胚を移植して、重複肢誘導の有無を検討した。 胎齢11日〜17日のC3Hマウスの胚から歯胚を摘出し、細切したものを検定系である孵卵3,5日(ステージ20〜21)のニワトリ胚翼芽の前端基部の外胚葉直下に移植した。その後1週間孵卵を継続したのち、アルデヒド固定して硬組織染色し、重複肢形成の有無を観察した。その結果、歯胚は第2指を中心にしてニワトリに重複肢を誘導し、その重複肢誘導活性は重複した指の数で表すことができた。それによると、13日〜14日胚で重複肢誘導活性はピークに達し、以後漸滅したことが判明した。次に歯胚をDispaseを用いて上皮と間葉に分離して同様に移植し活性の本体の同定を試みると、重複肢誘導活性は間葉側にあり、コントロールに用いた筋には時期に関わらず活性が無いことが判明した。更に、誘導された重複肢の表面構造を走査電子顕微鏡を用いて観察すると、重複の様式は指のみでなく、羽毛芽などの表面構造も鏡像対称的に形成されていたことが判明した。 以上のことから、表皮形成と指の形成が密接に関連していることが示唆された。また、マウスの歯胚がニワトリに重複肢を誘導したことから歯牙形成と肢芽形成とは相似性、共通性を持ち、種皮特異性を持つことが判明した。
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