1994 Fiscal Year Annual Research Report
アポトーシスと口腔癌発生の関連性を解明するための実験病理学的研究
Project/Area Number |
06671885
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
伊東 博司 広島大学, 歯学部, 助手 (20184682)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 郁子 広島大学, 歯学部・附属病院, 講師 (70136092)
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Keywords | アポトーシス / 口腔癌 / DNA断片 |
Research Abstract |
アポトーシス関連癌遺伝子の発現を免疫組織化学的に明かにするための予備実験として,ならびに免疫組織化学手技に習熟するため,ヒト口腔領域癌組織における種々のケラチンの発現状況を免疫染色によって明かにすることを試みた。その結果,高分子量および中分子量ケラチンの発現状況はいずれの癌症例でもほぼ同様であったが,低分子ケラチンの発現は各々の癌症例毎にかなり異なること,さらに,低分子量ケラチンの発現頻度が高い症例の生存期間は,他の症例よりも短い傾向があることが見出された。 アポトーシスに陥った細胞に生じるDNAの断片化を可視化する組織染色であるTUNEL法行う前に,パラフィン包埋された組織のDNAがどの位の期間保たれているかを明かにすべく,DNAの組織化学的証明法であるフォイルゲン反応を,包埋後種々の期間を経たパラフィンブロックから作製した切片を行った。これにより,包埋後室温で4年経過したパラフィンブロックから作製した切片においてもフォイルゲン反応の陽性所見が観察され,過去蓄積された多数の口腔癌症例がTUNEL法の検索対象となりうることが判明した。 次に、ラット腸管から作製したパラフィン切片にTUNEL法を施行したところ一部の上皮細胞に陽性所見が観察された。ただし,この染色結果は,各染色毎のばらつきが多かったことから,常に安定した染色結果が得られるようTUNEL法にさらに習熟する必要があると考えている。なお,TUNEL法陽性という所見は,その細胞でDNAの断片化が生じているという現象のみを明かにしているだけで,TUNEL法の陽性所見が,アポトーシスに陥っている細胞のみならず壊死細胞にも見られるらしいので,今後は,TUNEL法陽性細胞が,どの程度の割合で超微的なアポトーシス罹患細胞であるかを解明するための電子顕微鏡的研究が必要であると思われる。
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