1994 Fiscal Year Annual Research Report
傾斜機能バイオセラミックス多孔体の試作と生体内反応
Project/Area Number |
06671955
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
今 政幸 徳島大学, 歯学部, 助手 (80116813)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 邦夫 徳島大学, 歯学部, 助手 (90202952)
宮本 洋二 徳島大学, 歯学部・附属病院, 講師 (20200214)
浅岡 憲三 徳島大学, 歯学部, 教授 (50014189)
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Keywords | バイオセラミックス / 傾斜機能材料 / リン酸カルシウム / 多孔体 / 骨補填材 / ダイヤモンド / リン酸三カルシウム / ハイドロキシアパタイト |
Research Abstract |
ダイヤモンド粉末を混入させた各種粒度のナフタレンおよびPMMAを作製し(気孔径パターン)、ハイドロキシアパタイト(HAP)粉末と混合したものを乾式加圧成形した。混合成形体を減圧雰囲気で1280℃まで加熱し、3時間焼成した。その温度での焼成中に減圧雰囲気を解除し、大気圧焼成を行った。その結果、試験片中のダイヤモンド、ナフタレンおよびPMMAは焼成過程で消失し、焼成された多孔体の気孔率はHAP粉末と気孔径パターンの混合比により、50〜80%の値を得ることができた。気孔径は気孔径パターンの大きさにより、0.1〜1.0mmまで調整することが可能であった。ナフタレンを用いた場合、気孔を形成している焼成体骨格部は比較的、緻密に焼結していたが、PMMAを用いた場合は十分に焼結しない傾向がみられた。焼成体全体の結晶相をX線回折により調べた結果、HAPの回折線以外にαリン酸三カルシウム(αTCP)の回折線が確認できた。さらにXMAおよびFT-IRの測定から組成の傾斜が認められたことにより、表面および気孔表面は大部分がαTCP相で、深さが増すにつれてαTCP相が少なくなってゆき、内部はHAP単独相であるものと考えられた。HAPがαTCPに分解する原因は、焼成中の試験片表面の温度測定からダイヤモンドの燃焼熱が作用しているものと推察された。試作した試験片とHAP多孔体をラットの皮下組織に埋入し、比較検討を行った結果、カーボネイトアパタイトの沈着がHAPの場合より多量にみられることがわかった。さらに試作材料は、気孔内への組織の進入度が高いことが認められた。以上、試作した組成傾斜のリン酸カルシウム多孔体はHAP多孔体の場合より、生体内での活性が高いことを明らかにした。本研究の一部は第16回日本バイオマテリアル学会(平成6年11月)において口頭発表を行ったが、詳細については現在、適切な学術誌に公表準備中である。
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