1996 Fiscal Year Annual Research Report
精神遅滞児の肥満解消に必要視される運動能力開発に関する事例研究
Project/Area Number |
06680092
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Research Institution | Toyama University |
Principal Investigator |
横山 泰行 富山大学, 教育学部, 教授 (30109102)
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Keywords | 精神遅滞児 / 肥満解消 / フ-プとびなわ / 肥満傾向児指数 / 重度肥満 |
Research Abstract |
中学部3年次に在籍中の本事例児は,家庭内で祖母や母親に暴力を振るうようになったため,1996年1月より7月中旬まで,施設に入所していた.その期間,一週間に一回ほど養護学校に通学し,保健室などで指導を受けていた.夏休み前にその施設を退所後,新しい養護学校に転校している.したがって,身長と体重の測定は4月に一度しか実施できなかった.その時の身長と体重は164.3cm(全国値:165.0cm)と52.2kg(54.7kg)であり,肥満傾向児指数は過去最小の97.0であった.その後のレポートによると,11月になると,再び嘔吐が認められるようになり,薬を服用し出したとのことである.体重のさらなる低下や増加の認められない背景には,こうした頻繁な嘔吐や反芻が何らかのかたちで関与しているものと推察できる.しかしながら,医師も,嘔吐・反芻と体重の増減との因果関係をはっきり認定できない状態にある.さらに,精神医学的観点から,こうした頻繁の嘔吐の原因を下すことは難しいと診断している. 今年度は研究成果報告書作成の年である.その報告書の前半では,昨年高等部を卒業した事例児が「フ-プとびなわ運動」をマスターするに至った軌跡を,高畑の「フ-プとびなわ驚異の教育力」といった実践記録より,精細に紹介する.特に本人の心身(肥満問題や体力問題を含む)や家庭の両親やクラスの仲間に及ぼした影響を詳述している.さらに,高畑の「フ-プとびなわでなわとびは誰でも跳ばせられる」といった著書より,精神遅滞児に対する「フ-プとびなわ」の指導ステップを要約している.報告書の後半では,「フ-プとびなわ」の導入には失敗したけれども,小学部から重度肥満であった事例児がどのような過程で肥満を解消したかを,家庭からの視点と養護教諭の視点から究明している.
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