1994 Fiscal Year Annual Research Report
コンピュータシミュレーションによる炉壁材料からの2次電子放出の研究
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06680481
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
大宅 薫 徳島大学, 工学部, 教授 (10108855)
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Keywords | 2次電子放出 / プラズマ表面相互作用 / 核融合 / 計算機シミュレーション |
Research Abstract |
本年度は、主として、2次電子放出のシミュレーションコードの開発とその性能試験を行った。これまでの半経験的モデルによる計算では放出2次電子のエネルギー分布や放出角などの詳細な情報が得られないので、衝突断面積に基づく微視的な取り扱い(ダイレクトモデル)によるシミュレーションコードの開発に重点をおいた。当初、各衝突断面積の計算方法、多重衝突過程のモデル化の方法がシミュレーション結果に大きな影響を及ぼすことが判明し、改良を重ねた結果、電子と水素イオンによる金属の2次電子放出についてはシミュレーションコードを完成した。軽金属(ベリリウム)でも重金属(金)でもその2次電子放出特性の計算は、ほぼ満足できる程度に実験結果を再現できるようになった。これらの成果については、本年5月ヒューストン(USA)で開催されるScanning Microscopy International 1995 meetingの招待講演にて公表する予定である。また、高密度プラズマに晒されたプラズマ対向壁表面には、スパッタリングにより様々な形状の凹凸が形成されるため、リップルおよびボウル型凹凸を仮定してその2次電子放出特性への効果を検討した。特に、通常観測される程度の凹凸に対して、2次電子放出係数が増加することや、放出2次電子のエネルギー分布や放出角分布に顕著な変化が現れることが明らかとなった。これに関連した研究成果は、プラズマ・核融合学会誌(1994年12月)に公表し、Journal of Nuclear Materals誌(1995年)にも掲載予定である。対向壁から放出され、プラズマ中で様々に電離にした、不純物多価イオンのような重イオン衝撃に対する2次電子放出のシミュレーションコードも現在開発中であり、すでに固体内での2次電子生成へのイオンの価数の効果などを明らかにし、昨年9月ウィーンで開催された第7回多価イオン物理国際会議で発表している(Nuclear Instruments and Methods in Physics Research誌Bに掲載予定)。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] J.Kawata,K.Ohya: "Secondary Electron Emission from Rough-Textured Beryllium Surface under Oblique Incidence of Low-Energy Electrons" Journal of the Physical Society of Japan. 63. 3907-3908 (1994)
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[Publications] J.Kawata,K.Ohya: "Dependence of Secondary Electron Emission of the Incident Angle and the Energy of Primary Electrons Bombarding Bowl-Structured Beryllium Surfaces" Journal of Plasma and Fusion Research. 70. 1298-1305 (1994)
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[Publications] J.Kawata,K.Ohya,K.Nishimura: "Simulation of Secondary Electron from Rough Surfaces" Journal of Nuclear Materials. (in press). (1995)
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[Publications] J.Kawata,K.Ohya: "Contribution of Kinetic Emission to Multicharged Ion-Induced Electron Emission from a Metal Surface" Nuclear Instruments and Methods B. (in press). (1995)