1994 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ波のショウジョウバエの生殖細胞と哺乳類の精子細胞(試験管内)への影響
Project/Area Number |
06680517
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Research Institution | Tokyo Woman's Christian University |
Principal Investigator |
外村 泰子 東京女子大学, 文理学部, 助手 (40138821)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上口 勇次郎 旭川医科大学, 医学部, 教授 (60091568)
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Keywords | Microwave / Human spermatozoa / Chromosome aberration / in vitro exposure / Drosophila / Salivary-gland chromosome / Heat shock / Puff |
Research Abstract |
上口はヒト精子細胞(試験管内)に及ぼすマイクロ波照射の影響を調査した。1)In vitroのヒト精子懸濁液を電子レンジ(2.45GHz、500W)に10秒間入れた後の精子運動力を観察した結果、生存率40〜50%に低下した。また生存した精子をハムスター卵に異種間体外受精させたところ、受精能力は対照群より低いが、十分な数の精子の染色体分析ができた。2)雄由来の構造的染色体異常の出現は対照群11.3±1.4%、照射群10.3%±2.0%で統計的有意差はなく、また精子当たりの染色体異常出現率にも有意差は示されなかった。さらに出現した構造異常のタイプは染色体型異常と染色分体型異常の両方が含まれていたが、マイクロ波照射によって特定なタイプの異常が増加する傾向は認められなかった。従ってマイクロ波は成熟精子に対しては染色体異常につながるDNA損傷を生ぜしめないとして、この実験は本年度にて終了する。 外村はマイクロ波のショウジョウバエの唾腺染色体上に及ぼす影響を調査した。1)Ritosa(1962)が通常飼育温度を20℃から30℃に上げた時、熱ショックパフが幼虫の唾腺染色体上の9ヵ所に生じることを報告している。その確認の実験を試みたところ、3L腕上の4ヵ所のパフ誘発は鮮明であったが、他腕上のパフは必ずしも鮮明とは言い難い。2)マイクロ波照射実験は上口と同様電子レンジ(2.45GHz、500W)を用いて3令幼虫を10秒間被曝させた。3L腕上の4ヵ所のパフにプラスして新しいパフも出現した。3)マイクロ波によって誘発したパフのパターンが果して湯煎器(37℃、40分間)で飼育した幼虫の唾腺染色体上にも生じるか否かを調べた。結果は逆にすべてのパフは消滅するという現象が起こった。このことはマイクロ波によって生じた新しいパフはマイクロ波特有の熱ショックの新しい遺伝子群によるものと考えられる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 上口勇次郎,立野裕幸,渡辺誠,外村泰子: "ヒト精子染色体に及ぼすマイクロ波照射の影響" 東京女子大学紀要(科学部門報告). 45. 1297-1303 (1994)
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[Publications] YASUKO Tonomura: "RELATION BETWEEN PUFFS INDUCED IN SALIVARY-GLAND CHROMOSOMES OF THE DROSOPHILA MELANOGASTER AND HEAT PRODUCED BY MICROWAVE IRRADIATION" Science Reports of Tokyo Woman's Christian University. 45. 1305-1313 (1994)