1994 Fiscal Year Annual Research Report
高濃度リン酸アンモニウム溶液中におけるD体アミノ酸に対する酵素活性の出現
Project/Area Number |
06680551
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
島田 秋彦 筑波大学, 応用生物化学系, 講師 (90235614)
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Keywords | 生命の起原 / アミノ酸光学異性体の選択 / トリプトファナーゼ / D-トリプトファン / リン酸水素2アンモニウム |
Research Abstract |
平成6年度は研究の初年度にあたるので、トリプトファナーゼがD-トリプトファンに対して活性を示す系を探すための予備的段階と位置づけた。以下の1〜3に本年度の研究概要を述べる。 1.市販のトリプトファナーゼは不純タンパク質が非常に多いので、あらかじめ不純物を取り除いておく必要がある。当初は、カラムクロマトグラフィー法で精製を試みたが成功しなかった。次に、バイオラッド社のロトフォアシステムを用いて等電点電気泳動法でこの不純タンパク質を取り除くことを試みた。試行錯誤ののち最終的にはSDSゲル電気泳動法でタンパク標品を泳動させると、ほとんどシングルバンドになるところまで精製することができた。こうして得られたトリプトファナーゼ標品は市販の酵素と比べて3.4倍の比活性の上昇がみられた。以後、すべての実験にはこの精製酵素標品を用いることにした。 2.トリプトファナーゼとD-トリプトファンの反応が可能な系を種々検討した。その結果、高濃度のリン酸水素2アンモニウム溶液中で反応することが分かった。反応条件は、100%飽和濃度のリン酸水素2アンモニウム溶液をBritton-Robinson緩衝液で希釈し,10〜50%の所定飽和濃度に調製し、基質としてD-トリプトファンを加え37℃でトリプトファナーゼと反応させた。活性測定は,反応生成物をエールリッヒ試薬で赤色に呈色させ,λ=570nmの吸光度を測定することによって算出した。 3.D-トリプトファンが高濃度のリン酸水素2アンモニウム溶液中でラセミ化するのかどうか検討するために光学異性体分割用カラムであるクラウンパックを用いて分析を行った。その結果、ラセミ化の可能性はないことが分かった。
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Research Products
(1 results)