1994 Fiscal Year Annual Research Report
Tリンパ球の活性化において特異的に出現するガングリオシドの機能に関する研究
Project/Area Number |
06680637
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
野原 恵子 国立環境研究所, 環境健康部, 主任研究員 (50160271)
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Keywords | T細胞 / 活性化 / ガングリオシド |
Research Abstract |
筆者らの先の研究によって、ラット胸腺リンパ球を活性化させると、新たにガングリオシドGDlb(NeuGc,NeuGc)が出現することが明らかとなった。リンパ球の活性化におけるこのガングリオシドの役割を明らかにするため、本研究ではそのモノクローナル抗体を作製しいくつかの実験を行うこと、およびこのガングリオシドの添加実験を行う計画である。そのために本年度はまずGDlb(NeuGc,NeuGc)の単離を行った。GDlb(NeuGc,NeuGc)はこれまで他の組織ではほとんど報告されていない分子種であるが、ウマの脾臓に存在することが示唆されていたことから、ウマ脾臓からの単離を試みた。ウマ脾臓より抽出、分配、アルカリ処理、透析によって糖脂質画分を調整し、DEAE-Sephadexカラム、Iatrobeadsカラムおよび薄層クロマトグラフィーによってGDlb(NeuGc,NeuGc)を単離した。しかしながらその含量は非常に少なく、脾臓4.3Kgより単離された量は約150μgであった。そこでさらにラットの活性化胸腺細胞からこのガングリオシドを調整した。胸腺細胞をカルシウムイオノフォアA23187、TPAおよびIL-2存在下培養して活性化させた場合、細胞1x10^<10>個あたり約50μgのGDb1(NeuGc,NeuGc)が単離された。 また今回単離されたGDlb(NeuGc,NeuGc)を用いて、Ozawaらの方法(Biochim.Biophys.Acta1123,184-190,1992)によって抗ガングリオシドモノクローナル抗体の作製を行った。GDlb(NeuGc,NeuGc)を酸処理したSalmonella minnesotaに吸着させ4回免疫した後抗体価の上昇を確認したが、今回は融合後細胞が増殖しなかった。その原因としては、ポリエチレングリコールの加え方が適切でなく細胞が大きなダメ-ジを受けたことが考えられた。この点を踏まえて、現在再度抗体を作製中である。
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