1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06680729
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
河野 邦雄 筑波大学, 基礎医学系, 教授 (60013942)
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Keywords | Neuron / Dendrite / Smooth endoplasmic reticular / Purkinje Cell / anoxia / IP_3 / membrane / electron microscopy |
Research Abstract |
ラットの小脳プルキンエ細胞を用いて、分秒単位の極めて短時間の酸欠状態によりニューロンの微細構造が変化することを明らかにした初めての研究である。今回の研究で次のことが明らかとなった。 1)樹状突起には0.1μmの間隔をおいて互いに平行に並ぶ微小管が含まれる。その間を管状の滑面小胞体が網状をなして広がる。肺を虚脱し酸欠状態にすると、滑面小胞体の膜は流動性を増して管状の形態を失い微小管の間に広がる有窓小胞体となる。有窓小胞体は軸索流により微小管に平行な偏平小胞体となり、それらが相重なって15層にも及ぶ層板小体となる。 滑面小胞体には細胞膜直下に接する偏平な膜下槽もプルキンエ細胞では発達する。膜下槽の有窓小胞体を経て層板小胞体となる。 2)管状の滑面小胞体は1〜2分の酸欠で層板小体の形成が始まり、5分でほぼすべてが層板小体に変る。酸欠2分でほぼすべての層板小体の形成が終り、5分では個々の層板小体に新しい層板が付け加わり大きさを増すが、層板小体の総数は2分のときと変らないことが統計的に明らかにされた。以上の結果はJNCに報告した。 3)3分間酸欠後、人工呼吸で酸素を送り込んだときに、層板状に変化した滑面小胞体が正常の管状と膜下槽にもどるかどうかを調べた。その結果、3分間の人工呼吸で完全に正常の形態にもどり、人工呼吸15秒ですでに層板の離脱が始まることが明らかとなった。人工呼吸30分〜1分では細胞質に層板はみられず、散在する板状の槽の管状への連続的な形態変化が起り、酸欠時の滑面小胞体が管状から層板への移行のときに経過した有窓小胞体のような中間段階を経由することはない。古くから固定の人工産物とされて来た層板小体の出現は、セカンドメッセンジャーとしてのカルシウムの放出を抑える生体反応と結論した。
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Research Products
(1 results)