1994 Fiscal Year Annual Research Report
中枢ミエリン形成不全症の分子病理とモデルマウスの作製による病態解析
Project/Area Number |
06680741
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岩城 明子 九州大学, 遺伝情報実験施設, 助手 (30253454)
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Keywords | ミエリン形成不全症 / プロテオリピド蛋白質 |
Research Abstract |
本研究の目的はミエリンプロテオリピド蛋白質(proteolipid protein,PLP)の異常で起こるPelizaeus‐Merzbacher病(PM病)患者の遺伝子解析を進めると同時に、培養細菌レベルあるいは個体レベルでPLPの機能を解析し、両者の結果を相互にフィードバックしながらその変異と病態の関係を明らかにすることにある。今年度はまず、PM病のPLP遺伝子診断を迅速化するためにPCR‐SSCP法を導入した。7つのエクソンからなるPLP遺伝子を10個の領域に分割し、PCR‐SSCP法により変異のある領域を同定してからその塩基配列を直接塩基配列決定法により決定した。増幅するDNAを300bp以下にすると検出感度は高く、この方法が有効であることがわかった。その結果これまでに17家系中、5家系において新たなPLP遺伝子変異を検出している。 さらに、PLP遺伝子のコード領域の上流500bpを解析する系を作製し10人のPM病患者を調べたところ、この領域に異常は無いことが解かった。次に、PLP/DM20の高発現系および発現抑制系を培養細胞で作成するために、MMTVプロモーターの下流にDM20のcDNAセンスあるいはアンチセンスに連結したベクターを構築し、C6グリオーマに導入した。ステロイドホルモンでmRNAの発現誘導のかかる安定形質転換体が得られたことがRT‐PCRおよびNorthern blotttingにより確かめられた。また、蛋白レベルでの発現を検出するために坑体を作製した。PLPのcDNAを利用してGSTとの融合蛋白を作製し坑原に用いた。この坑体はラット脳の組織切片でミエリンを染色し、Western blottingではPLPおよびDM20に結合した。現在細胞レベルでその発現様式を検討中である。
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